再生繊維とは?
繊維には天然繊維と化学繊維がありますね。
再生繊維は天然高分子化合物を原料に紡糸したもので、
再生繊維も大きく分けると植物系のものと化学系のものに分類されます。
【植物系再生繊維】
植物系の再生繊維の主成分は、セルロースです。
セルロースを加工しやすいよう、化学薬品で溶かし、人工的に繊維として再生しています。
セルロースは、木材パルプや綿などに含まれる炭水化物の一種です。
【植物系の再生繊維の種類】
レーヨンやキュプラ、テンセル、リヨセルなどが植物系再生繊維になります。
では、それぞれの特徴を見てみましょう。
<レーヨン>
レーヨンは木材パルプから取れるセルロースから作られています。
絹(シルク)に似せて作られた再生繊維で人造絹糸、『人絹(じんけん)』とも呼ばれていました。
□メリット
・シルクのような上品な光沢があり、滑らかな肌触り。
・通気性が良くドレープ性に富んでいるため、着心地が良く、美しいシルエットの表現が可能でドレスにぴったりです。
・シルクよりも安価なため、普段使いの衣服やスカーフなどにも使用されています。
□デメリット
・シワになりやすくシルクのようにデリケートな素材なのでお手入れが面倒。
・水洗いにより収縮したり、水分を含むと生地の強度が落ちるため洗濯には注意が必要です。
また、熱に弱いのでアイロンをする際はあて布をするのなど注意してください。
(※洗濯表示・品質表示をご確認下さい。)
-おすすめの素材をご紹介-
レーヨン素材をもっと見る
<キュプラ>
ベンベルグキュプラは正式名称を「銅アンモニアレーヨン」といいます。
天然素材を原材料に作られている再生繊維で、元々の素材は
”コットンリンター”
と呼ばれる、綿を収穫した際に採れる綿の種子の周りにあるうぶ毛なんです。
この原料を酸化銅アンモニア溶液(難しい)を使い、溶解させて、繊維が作られます。
その溶液の名前が「Cuprammonium(キュプラモニウム)」と言うことから、「Cupra」という名前で呼ばれるようになったそうです。
□メリット
・レーヨン同様に上品な光沢感とドレープ性に優れています。
・滑りが良いので多くは、スーツやコートの裏地として使用されています。
・吸湿性・放湿性にすぐれていて、湿度調節や保温といった効果があるので
蒸し暑い夏は体をひんやりさせ、寒い冬は体を温める作用があり、季節を問わず快適な着心地です。
・静電気がおこりにくい
□デメリット
・湿潤強度(水にぬれた時の強度)はレーヨンのように低下しないが耐久性はあまり良くない。
・コシがない(ドレープ性にすぐれているってことは、そう言うことになる。)
・摩擦性に弱くて毛羽立ちやすい。
・水洗いできないものが多く、水に弱く濡れるとシミやしわになってしまうとてもデリケートな素材。
-おすすめの素材をご紹介-
キュプラ素材をもっと見る
<テンセル™リヨセル>
テンセルは、レンチング社が製造するリヨセル繊維の商標名です。
リヨセル繊維は精製セルロース繊維とも言われています。
レーヨン同様に木材パルプを溶剤で溶かして紡糸します。
またその溶媒は、99%回収され再利用されるため、環境への負荷が軽減されています。
又、土に埋めると微生物の働きによって分解されます。
素材だけでなく生産工程においてもサステナブルな素材です。
□メリット
伸縮性に優れ、柔らかな風合いでレーヨン同様にシルクのようなな上品な光沢感のある素材です。
・優しい肌触り
・通気性の向上
・長続きする柔らかさ
・色持ちの良さ
・強度
・植物由来
リヨセルセルロース繊維は、コットンよりも蒸気をより効率的に吸収できる、なめらかな表面構造が特徴です。
この特性が、人体の自然な体温調整機能を促進し、肌の清涼感とドライ感を保ちます。
さらに、暖かくドライな肌触りを感じるようにファブリックを設計することもできます。
繊維の感触を調べるアラムベータ試験では、エアリー起毛を施したテンセル™リヨセル繊維には、
コットンフランネルに匹敵する保温効果があることが証明されています。
汗ばむ暑い夏にも乾燥する冬にもリヨセルの洋服が活躍します。
□デメリット
摩擦に弱くシワになりやすいデリケートな素材です。
レーヨン同様に洗濯やアイロンには注意が必要です。
テンセル®リヨセル素材をもっと見る
【化学系の再生繊維】
<リサイクルポリエステル>
化学系の再生繊維と言えば、リサイクルポリエステルが有名ですね。
通常のポリエステル繊維はナイロン、ポリウレタン、アクリル同様に石油を原料として人工的に作られた合成繊維です。
リサイクルポリエステルは、石油の代わりにペットボトルを利用しています。
1.原料となるペットボトルを回収。
2.回収したペットボトルを粉砕。
集めたペットボトルは回転式ハンマーで粉々に。
さらに、複雑な工程を経て、フレークにします。
フレーク(英語:flake)は、コーンフレークのフレーク。小さな薄い破片のようなものを指す言葉。
3.粉砕したペットボトルを溶かす。
洗浄したフレークを溶かして液体にします。
4.糸にする。
小さな穴の開いたノズルから溶かされたペットボトルが押し出され、繊維の状態になります。
□メリット
ポリエステルの大きな特徴は、染色性や蒸散性にも優れているので、
原料を溶融してから長繊維の糸を紡出してつくる際に糸の形状に変化を与えたりできること。
だから、吸水速乾性の高い断面の糸や抗菌素材を練りこんだり、短繊維だけではなく、さまざまな特性を持った繊維をつくることが可能です。
なので、ワンピースやシャツなどの一般的な衣類だけでなく、アパレル雑貨やユニフォーム、スポーツウェア、インテリア製品など幅広く使用されています。
□デメリット
ポリエステル繊維の欠点は、静電気が起きやすく、摩擦により毛玉ができやすいことです。
また、ポリエステル繊維だけを使用した素材の場合、吸汗性・吸水性に劣ります。
リサイクル素材をもっと見る
【まとめ】
技術により環境に悪影響を及ぼすことも、再生繊維のように環境を守ることもできます。
再生繊維を利用して、サステナブルなものづくりにチャレンジしてみてください。