買い物では欠かせなくなったエコバッグや
ナイキなどで有名なウインドブレーカーやスキーウェア、ナイロンジャケットに作業着、歯ブラシなど。
中々書き切れないですが、これらはみんな”ナイロン”という素材で造られたものなんです。
日常生活の中でもさまざまな物にたくさん使われている素材なんですね。
ちょっと掘り下げて見ましょう。
ナイロンの歴史と由来
ナイロンとは、主に石油を原料とする素材、科学的な名称は「ポリアミド」とよばれる合成樹脂から作られた繊維です。
繊維には「天然繊維」、「合成繊維」、「再生繊維」と種類が分かれますが、ナイロンは「合成繊維」に含まれます。
「クモの糸よりも細く、鋼鉄よりも硬い」というコンセプトをもとにナイロンは作られたそうです。
1935年にアメリカのデュポン社によって開発され、日本では1941年に東レ㈱がナイロンの紡糸に成功しました。
ナイロンは合成繊維のなかでは世界初で最も歴史のある繊維です。
ナイロン(ポリアミド)は、当初女性用ストッキングとして人気を集め、その後世界中へ広まっていきました。
そして現在、世界でもっとも生産量の多い合成繊維はポリエステルですが、2番目に多いのがナイロンとなっています。
耐久性の高さ、軽さなどの機能面とあわせて、合成繊維でありながら染色しやすいという特性も持つため、衣料品を中心に幅広く活躍している素材です。
ナイロン(nylon)の名前の由来としては、簡単に破れないという繊維の強さから「伝線(run)しないストッキング用の繊維」を意図した「norun」と言われているそうです。
ナイロン繊維の特徴
合成繊維の中でも、ポリエステルとともによく使われているナイロンなんですが、そこでナイロン素材の特徴、強みと弱みをここに見ておきましょう。
メリット
ナイロン | ポリエステル |
---|---|
・摩擦に強く丈夫 ・薬品、海水、油に強い ・伸縮性がある ・弾力性が高い ・軽い ・すぐ乾く(速乾性) ・カビ、虫食いに強い ・シワになりにくい ・型崩れしにくい ・発色性に優れている |
・摩擦に強く丈夫 ・すぐ乾く(速乾性) ・熱に強く、日光による劣化があまりない ・型崩れしにくい ・シワになりにくい ・カビ、虫食いに強い ・軽い |
特にナイロンはアウトドアシーン向けを中心にしたアウターや、トートバッグやビジネスバッグなどに使われることが多いです。
薄地で軽量、すぐに乾き、汚れ、キズにも強いためメンズやレディース関係なく便利で普段使いにぴったりです。
伸縮性、弾力性があることから、着心地の良さではナイロン素材のほうが優れています。
特に摩擦に強く、強度は綿の約10倍程度もあり、繊維自体に伸びる性質もあるのが、ポリエステルとの違いだと思います。
ナイロンは服やかばんにうってつけの素材ですね。
しかし、こういった弱点もあるのですね。
デメリット
ナイロン | ポリエステル |
---|---|
・紫外線に弱い(白地は黄変しやすい) ・吸湿性が低いため静電気が起きやすい ・熱に弱く、アイロンや乾燥機などで変形しやすい ・長期間経つと黄ばみがでやすい |
・汚れを吸着しやすい ・静電気が起きやすい ・色落ちしやすい ・毛玉ができやすい |
発色性が高く、色移りしにくいのもポイントですが、紫外線で変色、劣化しやすいというデメリットも併せ持ちます。
(簡単に染めることができるため、染め直しする人もいらっしゃるようです)
洗濯したときも直射日光に当て続けると、ナイロンの寿命を縮める原因にもなります。
吸湿性が低いため、静電気が起きやすく、また湿気の多い場所などでは蒸れやすいです。
また、ナイロン生地のビニールのような光沢感(テカリ)は、見た目が安っぽく見えてしまうこともあります。
ほかには、ナイロンは火にあてると特有の臭いがし、溶けながら徐々に燃え、火を離すと燃え続けないという特徴があります。
(タバコなどで知らないうちに服に穴が空いていることもあったとか…火にはご注意を!)
ちなみにポリエステルは、黒い煙を出して燃えますが、ナイロン同様火を離せば燃え続けません。
ナイロン素材の種類
一口にナイロンと言うと様々な用途に使われているのですが、ナイロンの原料にも種類があって、その特徴を活かした生地、製品が作られています。
ナイロン6.6
Du Pont社(米国)が世界で初めて開発した合成繊維がこのタイプとなります、絹に近い肌触りと光沢が有ります。
特に工業用資材でも幅広く使われるのがこの素材で、自動車(エアバッグやタイヤコード)、電子部品のパーツ、鞄、釣り糸などに使われています。
ナイロン6
東レ㈱が日本で最初に開発した合成繊維で、特徴は綿に近い肌触りがあります。
ナイロン6.6と比べて、柔らかくて、また染色性が良いなどの加工のし易さがあります。
普段のファッションアイテムに使われている素材はナイロン6が多く使われていて、
ナイロンの短繊維糸に使われているものもナイロン6が使われている事が多いです。
他にも、ナイロン11やナイロン12など様々な種類が開発されていますが、
現在、特に生産されている繊維はナイロン6,6とナイロン6になります。
ナイロン素材の取り扱い方
基本的にナイロンはお手入れが楽で、自宅で水洗いすることができる素材です。
衣服についている洗濯タグを確認し、推奨されている洗濯方法で洗濯してください。
ただし衣類・バッグは、洗濯機の力で糸のほつれ、パーツの破損が起きてしまう場合がありますので、大切なアイテムは手洗いすることをおすすめします。
また、他素材との混紡、交織などの組み合わせで使われている生地も多くあります。
アイテムによっては、洗濯方法が変わる可能性がありますので、品質表記は必ず確認するようにしましょう。
次に洗剤ですが、ナイロンはアルカリに強い素材ですので、頑固な汚れを落としたいときは「弱アルカリ性洗剤」を使っても問題ありません。
ただし、日常的な洗濯でしたら生地への負担が少ない「中性洗剤」を使うようにしましょう。
乾燥方法ですが、乾燥機は熱に弱い弱点があって、生地が変形してしまうので、使用することはできません。
また直射日光に当てすぎると、日焼けする可能性がありますので、天気の良い日に陰干しで乾かすようにしてください。
ナイロンはアイロンがけ不要の素材ですが、アイロンをかける際は110℃くらいの低温でかけます。
高温だと溶けてしまうのでNGですよ~!
サステナブル素材としてのナイロン
ナイロンはいろいろな素材と組み合わせることで、「天然繊維の風合い」と「合成繊維の機能性」を持たせることができる素材です。
ここ近年ですと、サステナブル素材としての ”リサイクルナイロン”も注目されていて、製造工程から発生した原料からや、
漁業で使用済みとなった漁網をナイロン糸へのアップサイクルなどの取組、商品化もされています。
特に最近は海洋プラスチックごみの流出問題などの理由から、ナイロンやポリエステル素材でもそういった環境やさしい素材をピックアップして活用してみるのも良いですよね。
他の天然繊維などの相性も良い素材ですので、「見た目にも機能性にもこだわりたい」という方にはぴったりの素材です。
ナイロンは丈夫な素材ですが、思わぬところで破れたりしてしまうこともあると思います。
そんな時は、補修シート(シール)を活用すれば自分でも簡単に修理することができます。
お気に入りのデザインのアウターや、アウトドア用のテントなどすぐに買い替えにくい物も安心して長く使うことができ、環境にもやさしいですね。
ぜひ素材選びの参考にしてみてください。