日本の伝統美をもう一度、身近なアイテムから感じてみませんか?
ちりめんや和柄生地は、その独特の風合いとデザインで、世界中の人々に愛されています。
インバウンドの影響で、訪日客が国内各地であふれている今、より「和」を感じられる和雑貨は注目アイテムですね。
この特集で、ちりめんと和柄生地の魅力を再発見し、和柄デザインやちりめん生地をより身近に感じてもらえたらと思います!
1.そもそも「ちりめん」とは?
ちりめん生地は、独特のしわ加工が特徴的で、その美しい見た目と使い心地により、日本の伝統的な着物や小物などに広く用いられています。
ちりめんに用いられる和柄デザインは、日本文化の象徴的な美を表現し、海外からも人気のある質感とデザインであるといえるでしょう。
ちりめん生地とは
ちりめんとは、「縮緬」 といい、表面に凹凸があるのが特徴の平織りの生地です。
着物や帯、さらには小物類に至るまで、その使用範囲は広く、その美しい見た目は、見る人の心をとらえ人気があります。
もともとは、シルク(絹)で織られ、絹100%のちりめんを正絹(しょうけん)と呼んでいます。
そのしなやかな風合いと、柔らかい肌触りで、高級素材として昔から親しまれていました。
現在は、絹だけではなく、レーヨンやポリエステルで作られたちりめんも多く、その手軽さやお手入れの扱いやすさが魅力のひとつです。
アムンゼンという縮緬に似た風合いの生地もあり、そちらも着物などに向いています。
代表的なちりめんとして、「一越(ひとこし)」と「二越(ふたこし)」があります。
撚りのない平糸を経(たて)糸にし、
緯(よこ)糸に1右撚りと左撚りの強撚糸を緯(よこ)糸に1本ずつ織っているか(一越)、
緯(よこ)糸に1右撚りと左撚りの強撚糸を緯(よこ)糸に2本ずつ織っているか(二越)、
の違いがあります。
一越ちりめんは、シボが細かく、優美な印象を与え、高級品として扱われています。
二越ちりめんは、シボが大きく、伸縮性があります。一越ちりめんよりお手入れや価格面でも手頃なものが多いため、カジュアルな印象もあり、扱いやすいのが魅力です。
▼無地のちりめん生地▼
▼和モダン二越ちりめん▼
ちりめん生地の特徴と独特性
その最大の特徴は「シボ」と呼ばれる細かなしわが入った質感です。
これは、経糸と緯糸のどちらか、もしくは両方の糸に強固な強撚糸を用いて織られ、その収縮作用からシボが生まれるという構造です。
そのしわによって形崩れを防ぎ、柔らかく肌触りが良いのが特徴です。
布の張りやしなやかさを持ちながら硬くなりにくいという機能があります。
しわ加工の美しさと耐久性
しわ加工が施されたちりめん生地は、光の当たり方によっては様々な表情を見せてくれます。その結果、ちりめん生地を使用した和服や小物は、見る角度や光の加減で異なる美しさを放ち、和のテイストをより一層引き立てることができるのです。
また、ちりめん生地のしわ加工は単に見た目の美しさだけではなく、高い耐久性もポイントです。
その理由として、しわによる自然な伸縮性が生地自体に強度を与えることにあります。
これにより、長時間の使用にも耐えうるだけでなく、日常生活で起こりうる細かなダメージに対しても強い耐性を持っています。
そのため、バッグやアクセサリーなどの日々使用するアイテムに最適で、長く愛用することができます。
2.和柄の秘められた世界
和柄は、日本の伝統的な模様やデザインであり、その美しさと奥深さが多くの人を魅了しています。
各デザインには、例えば麻の葉模様が成長と健康を象徴し、桜模様が儚い美しさを表すなど、歴史や自然、神話まで反映された独特の意味や由来が込められており、見る者に様々な物語を語りかけます。
和柄の由来と背景
和柄の起源は、古来より日本人の暮らしや精神性に深く根付いています。
たとえば、桜の花は春の到来を象徴し、多くの和柄で見受けられます。これは、人々がその季節に同様の自然の美しさや美意識を共有している表れともいえるでしょう。
また、鶴や亀といった動物モチーフも長寿や縁起の良さを象徴し、和柄に積極的に用いられています。こうした和柄は、自然や伝統から受け継がれた美の象徴でもあり、日本人の生活や心象風景を色濃く反映しているのです。
象徴としての桜模様
桜模様は日本文化の象徴として広く愛されており、美しさとはかなさの象徴とされています。
そのため、日本の生活や心象風景に深く根ざしており、和服や和雑貨に桜模様を用いることで四季を感じさせるアイテムが多数存在します。
特に祭事やイベントでは、桜模様をデザインした装飾品が頻繁に見られることがあります。
▼桜をモチーフとした和柄デザイン▼
和柄生地によく見られる柄を紹介します。
市松模様 | 格子模様の一種で、途切れることなく続いていることから、「繁栄」の意味が込められた縁起のいい模様とされます。 平安時代には「霰(あられ)」という名称で、公家の装束や調度品に用いられていました。 |
青海波(せいがいは) | 海面に見える波頭を幾何学的にとらえた文様。 古代から用いられる文様で、未来永劫と平和な暮らしへの願いが込められています。 |
唐草文様 | 風呂敷の模様として馴染みのある唐草模様ですが、古代オリエント、ギリシャに起源を持ちます。 蔓草の茎や葉がモチーフとなっており、その生命力の強さから「一族の繁栄」「長寿」の意味を持つ縁起の良い模様です。 |
流水(りゅうすい) | 水は古来、神聖なものとして扱われてきました。 流れている水は常に清らかであることから、お清めや苦難や災いを流し去るという意味があります。 植物や器物などの組み合わせなど様々なバリエーションがあります。 |
麻の葉柄 | 正六角形を基本とした幾何学模様。 麻は丈夫ですくすくと育つことから、赤ちゃんや子供の健やかな成長の願いが込められています。 魔除けの意味もあり、子供や女性の着物に多く使用されています。 |
矢絣(やがすり) | 矢羽根の形になるように織りだした矢筈絣(やはずがすり)から生まれた文様。 弓で射た矢は戻らないことから、「出戻らない」「まっすぐに突き進む」という縁起柄とされています。 |
紗綾形(さやがた) | 卍(まんじ)繋ぎの一種で卍を斜めに崩してつらねた連続模様。 家の繁栄や長寿などの意味を持ちます。 |
小紋(こもん) | 一面に細かい文様が付けられたもので、柄が大きな文様に対して小紋と呼んだとされます。 鮫、角通し、行儀など文様の種類が多い。 |
牡丹 | 牡丹はあでやかな大輪の花を咲かせることから、「幸福」「高貴」「冨貴」「豪華さ」を表します。 百花の王と親しまれ、「丹」は不老・不死の仙薬を意味することから不老不死、不老長寿という意味も持っています。 |
桜 | 日本を代表する花で、平安時代より栽培・鑑賞が始まったとされます。 五穀豊穣の象徴で、春にはたくさんの花が芽吹くため縁起のいい物事の始まりを意味します。 |
梅 | 忍耐力や生命力、子孫繁栄の象徴とされる。 梅は別名と「好文木(こうぶんぼく)」といい、学問が栄えると立派な花を付けると伝えがあるので学問との繋がりが深い花です。 |
菊 | 長寿の象徴とされ、無病息災、邪気払い、心身の安定なども意味します。 太陽を思わせる丸い形から、花柄の中でも最も位の高い柄とされます。 |
七宝(しっぽう) | 円形の輪が四方へ無限に広がることから縁起が良いとされます。 「四方」→「しっぽう」→「七宝」と呼ばれるようになりました。 七宝とは仏教の7つの宝を示す言葉。 |
亀甲(きっこう) | 正六角形をつなげると亀の甲羅に似ていることから名付けられました。 長生きする亀と同様、長寿を象徴する文様です。 |
鹿の子 | 絞って染めた文様が子鹿の背中の模様に似ていたことから名付けられました。 鹿は神の使いとされ、縁起の良い動物です。 |
扇 | 扇は末が広がっている形状(末広がり)から、「拡大」「発展」を意味する吉祥文様です。 |
家紋 | 和柄とは少しズレますが、動植物を図案化したり幾何学文様を用いたりと共通するものがあります。 家紋の始まりは平安時代後期に貴族の装束や牛車に施したことによります。 |
3.甚平にもおすすめ!モダン和柄
ここまで、和雑貨に活躍する和柄について紹介してきました。
夏の暑さを涼やかに過ごすアイテム、 甚平でも、おすすめの和柄や和モダン生地があります。
和食店や旅館など、より和の装いを演出できるアイテムとして、無地の 作務衣も活躍しています。
無地、柄ともにテキスタイルネットおすすめの生地をご紹介します。
▼甚平や作務衣などに 無地生地▼
▼和の装いに 柄生地▼
4.まとめ
今回は、ちりめんや和柄の生地について特集しました。
伝統的な和柄は、柄一つ一つにも意味がこめられ、「繁栄」や「長寿」など、縁起の良い模様がデザインされてきました。
海外の方から人気があるのはもちろん、日本にいるわたし達も、和小物などの雑貨や、浴衣や甚平などの装いで、和のアイテムを普段使いに取り入れてみるのはいかがでしょうか。
日本の伝統美をより身近に感じていただければ嬉しいです。
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