「ビスコース」と言う言葉をご存知でしょうか?
合成繊維でも天然繊維でもない、環境にも優しい素材「ビスコース」について、まとめてみます。
< 1.ビスコースとは? >
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維でもなく、コットンやリネンなどの天然繊維でもない「ビスコース」。
低価格で見た目にも品があり人気のある再生繊維の一種です。
ビスコースとは、素材名ではなく素材を作る原料のことです。
ではビスコースは何からできているのでしょう。
実は、ビスコースは木材から作られているんです。
ビスコースはどんな方法で作られる?
木材から取れる木材繊維から木材パルプが作られます。
↓
木材パルプをアルカリの液体につける。
これにより、繊維質「セルロース」がアルカリセルロースに。
↓
粉砕したアルカリセルロースを水に溶かす。
↓
ヴィスコースの出来上がり!!
出来上がったビスコースは、蜂蜜のようなとろんとした粘性のある液体で、
これを、極細のノズルを使い、紡糸して再生セルロース繊維になるんです。
< 2.セルロースとビスコースと環境 >
ビスコースは、石油由来のポリエステルやナイロンなどの合成繊維とは違い、持続可能な再生繊維「セルロース」から作られます。
1年間に地球上で生成されるセルロースは、約2,000億トンとも言われています。
セルロースは、二酸化炭素と水を原料とし、太陽光による光合成によって生成されます。
つまり二酸化炭素を消費し、酸素を作り出すとてもエコな繊維なんです。
さらに、ビスコースを生産する際の廃棄物もほとんどありません。
持続可能性の高い環境に優しい繊維「ビスコース」はSDGsを考える上でもとても重要な繊維です。
< 3.ビスコース素材といえば… 特徴 >
ビスコース素材の代表といえば、「ビスコースレーヨン」です。
レーヨンは、人工的に作られた絹として別名「人絹」とも言われ、シルクによく似た素材。
見た目の素材感、光沢感だけでなく、なめらかな質感や肌触りや風合いまでシルクと瓜二つです。
また、他の繊維との相性も良いため汎用性に優れています。
-メリット-
・きれいな光沢
・柔らかい
・ドレープ性
・染色性にすぐれている
・通気性
・吸水性・吸湿性
・低価格
・お手頃価格
・熱に強い
・静電気が起きにくい
-デメリット-
・シワになりやすい
・水分を含むと縮みやすい
・カビに弱い
・摩擦に弱く、色落ちしやすい
・伸縮性に劣る
< 4.ビスコース素材の用途は? >
ふんわりとしたドレープ性を持つビスコースレーヨンは、ふんわりと涼しく着用することができます。
また、吸水・吸湿性にも優れているの夏の蒸し暑い季節におすすめです。
但し、速乾性がないので、レーヨンが使用されたパジャマは寝冷えに注意が必要です。
洋服以外では衣装やドレスに多く使用されています。
シルクに似た素材なので華やかで品のある印象に仕上がります。
また、ドレープ性があるのでデザインの幅が広がります。
ドレープ性があるということは、つまりコシがないため、カチッとしたデザインには不向きです。
< 5.ビスコース商品、生地紹介 >
< 6.お取り扱い、お手入れの注意とポイント >
「デメリット」でも書いたように、ビスコースレーヨンは水分を吸収すると縮みやすいので洗濯の際には、注意が必要です。
まずは、洗濯表示を確認しましょう。
取り扱い方法を知ることは、普段から愛用しているお気に入りのものを長持ちさせるコツです。
レーヨン100%を使用した製品に付けられている洗濯表示例↓
4種の製品に付けられたレーヨン100%の洗濯表示を表にしてみました。
□洗濯方法
洗濯方法は、家庭洗濯NG、液温40℃を限度とし手洗い、液温30℃を限度とし洗濯機で非常に弱い洗濯処理ができるの3種でした。
洗濯機を使用した一般的な洗濯方法とは違い、手洗いや手洗いコースで丁寧に優しいお手入が必要です。
□漂白
漂白は製品Aを除いて、全てが漂白NGとなっています。漂白は避けた方が良さそうです。
□乾燥
乾燥については、タンブル乾燥は全てNG。干し方は、日陰の平干し、又は日陰のつり干しの2択です。全てに共通することは、「日陰で」と言うことです。
□アイロン
ビスース・レーヨンはしわになりやすいのでアイロンが必要です。アイロンは、製品Cを除いて全て110℃を限度とした低音でスチームなし。あて布の必要はないようですが温度や使用方法を間違えると痕が残るので注意が必要です。製品の目立たない部分で試した方が良いかもしれませんね。
□クリーニング
ドライクリーニングでは、NGが一つ。弱い処理又は、通常のドライクリーニングが可能となっています。
ウェットクリーニングは、製品Dを除き、非常に弱い処理が可能となっています。
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