
♪わたしは、わたしは、ウラジミ~ル・キュプラスキー
裏地にキュプラ、裏地にキュプラ♪
って、懐かしいCM。
覚えてますか?
わたしが「キュプラ」と聞くと絶対に思い出しちゃうCMソング。
もう30年以上も前のCMだと思うけど。
キュプラっていつからあるんだろう・・・。
キュプラの歴史

ML_ACB002 先染めキュプラ(ベンベルグ®) ダイヤ柄ジャカード
「キュプラ」と言うのは繊維の名前。
ポリエステルとかレーヨンとか、呼ぶのと同じ。
で、キュプラのブランド名はベンベルグ。
旭化成の登録商標です。
旭化成のホームページにベンベルグの歴史が書かれています。
<ベンベルグ>が誕生したのは化学繊維が開発されたばかりの19世紀後半のドイツ。
旭化成は、ベンベルグ社が開発したその技術を1928年に導入し、3年間の研究を経て日本で初めて生産に成功。
1931年、宮崎県延岡市に<ベンベルグ>工場を建設し操業を開始しました。たゆみない研究と技術の革新により、旭化成は現在世界で唯一のキュプラ<ベンベルグ>メーカーになっています。
社会情勢や時代のファッションニーズに柔軟に対応し、
発展してきた<ベンベルグ>は、85年以上にわたる時の試練を経て、その品質が世界で認められた繊維となりました。
年表の1981~1987年の間にはちゃ~んと、懐かしいCMのことも書かれてました。
で、キュプラってどんな素材なの?
キュプラは裏地などによく使われるって言うイメージが強いですよね。
CMソングに出てくるくらいですから。
では少し、掘り下げて見ましょう。
材料は天然繊維の人工的に作られた化学繊維!?半合成繊維。

=再生繊維=
キュプラは正式名称を「銅アンモニアレーヨン」といいます。
天然素材を原料に作られている再生繊維で、元々の素材は
”コットンリンター”
と呼ばれる、綿を収穫した際に採れる綿の種子の周りにあるうぶ毛なんです。
(通常使われる綿素材は英語でcotton lint )とも呼ばれています。
この原料を酸化銅アンモニア溶液(難しい)を使って、溶解させてから、繊維を作るのですね。
その溶液の名前が「Cuprammonium(キュプラモニウム)」と言います。
キュプラの意味はその頭部分「Cupra」から来ているとされてます。
=キュプラの原料(sustainable)=

キュプラはコットンリンターという、綿花の種の周りの産毛部分からできている。
この産毛部分は短すぎて綿糸にできず、種部分は綿実油に使われていたりしたが、
もともとは使われることが無かったのです。
それを精製・溶解して作られた再生繊維というわけ。
このことからもキュプラはエコな繊維素材といえるのではないでしょうか?
=レーヨンやポリエステルとの違い=
レーヨンとポリエステルは、どちらも光沢がある化学繊維で、キュプラと同じようにスーツの裏地によく使われています。
レーヨンは木材パルプから作られた再生繊維で、ポリエステルは石油由来の原料から作られた合成繊維です。
このため、キュプラ・レーヨン・ポリエステルは見た目は似ていても、機能面では異なりますね。
キュプラの特徴と特性
=高級感=

高価なスーツの裏地に使われることの多いキュプラは、上品な光沢感としなやかなドレープ性が贅沢な雰囲気の素材。
チラッと裏地が見えたときにも高級感が出るといった点は大きな特徴。
=滑りの良さ=

ML_FCF001 後染めキュプラ(ベンベルグ(R)) 小花柄ジャカード
スーツ着用時に、シャツの袖が引っ掛からずにスムーズに通ったりしたり、しなかったりしますよね?
手触りがなめらかで肌触りがよく袖通しももたつくことなく滑りよくストレスを感じません。
キュプラがこんなにも滑らかなのは、繊維の断面が円形だから。
スムーズに袖が通る裏地はキュプラを使っている証拠!と言っても良いかもです。
ジャケットを買いに行く時は、袖通しは是非お試しあれ。
=調湿機能と耐熱性に優れている=
キュプラは素材そのものに水分を多く含んでおり、しっとりとした風合い。
繊維に含まれている水分率が高いんですね。
吸湿性・放湿性にすぐれていて、湿度調節や保温といった効果があるので
蒸し暑い夏は体をひんやりさせ、寒い冬は体を温める作用があり、季節を問わず快適な着心地。
=静電気が起こりにくい=

静電気ってのは乾燥していると起こりやすくなりますが
キュプラは保湿性に優れているため、キュプラを裏地に使っていると静電気が起こりにくくなります。
冬場の嫌な静電気を抑える効果があるので、コート、ドレス、スカート、ワンピースなど、
衣服の裏地にも使われたりするんですね。
静電気が起こりやすくなる秋冬は持ってこいな素材ですね。
まさに心地よさを演出しているんですよね。
こういった機能もあるので、レーヨンやポリエステルと比べるとキュプラは高価ではあるんですが、
これはキュプラの製造工程が難しく、世界でも生産しているところが限られている事も関係しているのだと思います。
なんだかメリットばかりになってしまいましたが、デメリットだってあるんでしょ?
何にだって良いところと悪いところはあるもんです。
=キュプラのデメリット=
・湿潤強度(水にぬれた時の強度)はレーヨンのように低下しないが耐久性はあまり良くない。
・コシがない(ドレープ性にすぐれているってことは、そう言うことになる。)
・摩擦に弱くて毛羽立ちやすい。
どんなアイテム・製品に使用される?

キュプラの特徴を見ると、やはり洋服に使用したいって思いますね。
綺麗な表面と滑らかな光沢感はまさに高級素材。
確かに、オーダースーツブランドなどでも裏地にキュプラを使用しています。
じゃ、他にはどんな製品に使われているか・・・。
アパレル以外だと寝具に使用されているようです。
確かに、肌触り良いししっとりしているから快適に眠れそうです。
敷きパッドや掛け布団のカバーだけでなく、キュプラを中綿に使用しているものもあります。
キュプラのお手入れ・取り扱い・洗濯方法は?

キュプラを取り扱う際には、こういったところに気をつけて下さい。
そもそも水洗いできないものが多く、水に弱く濡れるとシミやシワになってしまうとてもデリケートな素材です。
もしもご家庭で洗濯する際は縮みやシワなどに十分気をつける必要があります。
衣類の内側についている洗濯表示をチェックしよう!!
キュプラの洗濯表示
キュプラ製品に付けられる洗濯表示はこんなものがあります。
キュプラ100%なのか素材の混率やアイテムによって若干の違いがありますので、ご自身の目で必ず確かめてくださいね。
手洗い

これは「液温は40℃を限度とし手洗いができる」と言う意味ですが、
キュプラ製品の場合、洗濯表示の下に「手洗いは水温30℃以下をおすすめします。」と書かれていることが多いようです。
ぬるま湯を使用しましょう。
当たり前ですが、手洗いマークが付いている場合は、洗濯機を使用した洗濯はNGですよ。
脱水は、洗濯ネットに入れて10秒ほどで十分です。
洗剤は中性洗剤を選んで。
アイロン

「底面温度150℃を限度としてアイロン仕上げができる」と言う意味。
アイロンによっては温度が書かれていなくて低温、中温、高温となっているものもありますね。
アイロンの中温は、だいたい140℃~160℃ほど。
中温度の最高温度では熱すぎる可能性があるので、気をつけてください。
物によっては、イラストの真ん中の点が1つのものもあります。
点が1つの場合は、「底面温度110℃を限度としてアイロン仕上げができる」と言う意味になります。
アイロンの低温は、80℃~120℃ほどです。
禁止事項

ペケが描かれた図は、禁止ですよ~ってこと。
キュプラには、こんな禁止マークが付いていることが多いです。
左の三角にペケは、「塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止」、
右の四角に丸にペケは、「タンブル乾燥禁止」の意味です。
干し方

このマークは、「日陰の吊り干しが良い」と言う意味です。
クリーニング

この2つのマークはクリーニングに関する指示です。
左の丸にFは、「石油系洗剤によるドライクリーニングができる」と言う意味。
丸にFだけなら良いのですが、このマーク下に横線が描かれていますね。
横線が付くと「石油系洗剤による弱いドライクリーニングができる」と言う意味になります。
弱いが加わります。
右の丸にWは、「ウェットクリーニングができる」と言う意味。
これも下に一本横線が付いているので、「弱い操作によるウェットクリーニングができる」と言う意味になります。
ウェットクリーニングの場合、下線が2本のマークもあります。
2本の場合は「非常に弱い操作によるウェットクリーニングができる」と言う意味。
線が増えれば増えるほど弱く、弱くと強調される感じですね。
ポイント
また、摩擦にあうと繊維が傷み毛羽立ちやすい性質があります。
シルク生地に似て、繊細なところもあって、普段着ている分には激しい摩擦など起こりにくいものですが、
たとえば何かをこぼしたときなどにシミ取りのため強く擦るなどすれば、
あっという間に毛羽立ってしまい元に戻りにくくなってしまいます。
とにかく、ゴシゴシ洗いはNGです。
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