シルク素材のいいところ
シルクってどんな素材?
シルクとは、蚕(カイコ)の繭から取れる天然繊維を原料とする布のことです。
天然繊維には、コットン・リネンなどの「植物繊維」と、シルクやウールなどの「動物繊維」の2種類があります。
また、1個の繭から約800 ~ 1,200mとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント繊維)となります。
シルクの良さは上品な光沢があり、なめらかでシワになりにくいところ。
シルクは長い歴史を持ち、現代でも愛用され続けている織物です。
シルクができるまで
シルクの利用が始まったのは古代中国からといわれています
シルクの歴史は長く、5000~6000年前までさかのぼります。
日本では弥生時代あたりから養蚕が行われていたのではないかと言われています。
また、魏志倭人伝に邪馬台国の卑弥呼へ中国から絹製品が譲渡されたという記録も残っています。
生産工程
養蚕(ようさん)
シルク糸を生み出す蚕(かいこ)を育てます。
蚕は蚕蛾の幼虫のことです。
温度や湿度に気をつけて、餌となる桑の葉をたくさん与えます。
蚕は身体が透明になると餌を食べるのをやめ、糸を吐き繭(まゆ)を作ります。
製糸(せいし)
絹糸を作る工程です。
製糸工場に運ばれた繭は成虫になる前に蒸気の熱で乾燥させます。
カビの発生や腐敗を防ぐことができます。
その後、繭糸を取るため、お湯で煮ていきます。
ほぐれやすくなった繭の表面を稲の穂先で作ったみご箒で撫でて糸口を探します。
いくつかの繭の糸口を撚りながら1本の糸にしていきます。
繭から糸を取って生糸(きいと)にする作業を繰糸(そうし)といいます。
繰糸で巻き取られた糸はそのままの状態だとくっついてしまい、糸の強さも低下してしまうため
揚げ返し(あげかえし)という作業を行います。
糸を大枠に巻きかえ、水分量を安定させるために温度と湿度が調整された部屋で一晩寝かせます。
その後、製糸工場から出荷され、シルク製品へ加工されます。
シルクの滑らかな肌触りと独特の風合いは、このような長い工程を経て出来上がります。
シルクの特徴
なんとなく「高級品」というイメージがあるシルク。
どんな特徴があるのかご紹介します。
光沢
シルクには、他の天然繊維や合成繊維にはない、真珠のような美しい光沢があります。
これはシルクの繊維構造が関係しています。
繊維の主体となっているのが「フィブロイン」と「セリシン」と呼ばれるタンパク質成分です。
「フィブロイン」に「セリシン」という接着物質が覆うことによって繭の形が作られています。
繭から糸を取り出すときにセリシンは熱湯または弱アルカリ液で処理してしまいます。
残ったフィブロインは断面が三角形になっているため、光が当たるとプリズムのように乱反射するため
シルク独特の光沢感がでるというわけです。
シルクとサテンの違い
シルクもサテンも見た目は光沢のある生地ですが同じものではありません。
何が違うのかというと
「シルク」は素材そのものの名前のこと
「サテン」は『繻子(しゅす)織り』という織り方の種類のこと
シルクを繻子織にしたものが「シルクサテン」と呼ばれます。
吸放湿性に優れ、保温性もある
シルクは水分を吸収する吸湿性と繊維が含んだ水分を外に放出する放湿性に優れています。
その機能はコットンの1.5倍とも言われます。
シルクの繊維が構造的に隙間があるため、夏場は汗を吸水・放出することによって
湿度も下がり、素肌がサラッとして涼しく過ごすことができます。
また、シルクは熱伝導率が低く、表面に小さな穴がたくさん空いている
多孔質構造となっているため保温性にも優れています。
微細な隙間にある空気が断熱材のような役割を果たして外気を遮断し温度を一定に保つので
冬場は暖かく過ごせます。
紫外線(UV)をカットする効果がある
シルクには繭の中の蚕が紫外線を浴びないように守る機能が備わっているため、紫外線カット率が90%あります。
スカーフやストールとして巻くだけでも、紫外線対策をすることができます。
また、吸水性、通気性に優れているので紫外線対策もしながら快適に着用することもできます。
このシルクの特性は衣類だけではなく、美容・健康・医療分野からも注目をされています。
静電気が発生しにくい
静電気は湿度が高い場所では、空気中の水分を伝って逃げていく性質があります。
水分が多い環境では乾燥している状態と比べ、静電気がたまりにくいのです。
シルクは放湿性がありますが、化学繊維より保水量が高く繊維の中に約10%の水分を含んでいます。
シルクの保水量はポリエステルの約20倍あり、静電気がたまりにくい特性を持った繊維素材となっています。
そのため、チリやホコリも付着しにくく、綺麗な状態を保つことができます。
実は強い生地
シルクは、細い糸で織っているため薄い生地が多いことから弱いように思いますが、
実は引っ張り強さは羊毛や綿よりも大きく、繊維の中では強い部類の生地になります。
引っ張り強さとは、繊維素材を両側から力を掛けて引っ張った際の糸が千切れる限界の強さのことです。
これはシルクの成分のフィブロインの分子が互いに引き合う性質を持ち、束になる力が強いためです。
注意点
メリットばかりのシルクにも注意することがあります。
傷つきやすい
シルクは、引っ張る力にはとても強いのですが
一方で摩擦に弱く表面も傷つきやすいデリケートな特徴があります。
引っ掻いたり、ハンドバッグなどの摩擦やゴザの上に座る時などは簡単に傷ついてしまうので注意が必要です。
洗濯したい場合は洗濯機の使用は難しいため、20~30℃ほどのぬるま湯に中性洗剤を溶かして手洗いします。
ただし、ゴシゴシと強く洗ってしまうと生地が傷んでしまったり、質感が悪くなってしまう可能性があります。
変色しやすい
シルクは紫外線を吸収して紫外線をカットする素材です。
シルクの主成分はタンパク質。
肌が日焼けすると黒くなるのと同じで、長時間日光に当てると黄色く変色してしまう欠点があります。
洗濯後は直射日光に当たらないように日陰に干す、真夏の外出時には日傘を使用するなど
長時間紫外線に当たらないよう注意が必要です。
天然素材だからこそのデメリット
シルクは繊細な繊維素材のため、水に弱いという欠点があります。
水が浸透すると繊維が膨らんだり乱れたりしてしまい、それがシミのように見えてしまいます。
洗濯が難しいため、油分を含んだ汚れなどには注意が必要です。
シルクは害虫、虫食いの被害に遭いやすいデメリットもあります。
衣服をタンス等で保管する際は、防虫対策が必須になります。
また、湿気が多すぎるとカビの発生の原因にもなりますので湿度にも注意することもポイントです。
なぜ肌馴染みがいいのか
蚕の繭は、主成分が「タンパク質」でできています。
約20種類ものアミノ酸が結合した繊維で、人間の皮膚に近い成分となるため
とても肌なじみがよく不快感を感じにくい生地となります。
手触りもなめらかで、上質な着心地はシルクならではですね。
アミノ酸は生命の源とも言われる栄養素です。
着けているだけでも皮膚や健康に良いとされる機能を持ち合わせています。
色々なシルク製品
シルクはフォーマルなものからカジュアルなものまで幅広く利用されています。
ウエディングドレスやスーツ
高級感のある純白のシルクのウエディングドレスは、花嫁の魅力を一層引き立たたせます。
シルクを使用したスーツも、深みがあり上品な雰囲気を作り出してくれます。
着物
シルクの着物は、優雅で高級衣料のイメージにぴったりですね。
保温性に優れているので、夏は涼しく冬は暖かく着ることができます。
シャツやブラウス
シャツやブラウスなら手軽にシルク製品を取り入れられます。
上品なツヤやしなやかさがあり、着心地もいいので普段の洋服としても使えます。
肌着、下着
吸放湿性に優れているシルクは肌着や下着としても人気です。
肌に優しいので敏感肌の方にもおすすめです。
ハンカチ、ストール、マフラー、ネクタイ
ハンカチなどの小物類はプレゼントにも最適です。
普段のファッションにも手軽に取り入れることもできます。
高級インテリア
カーテンやクッションカバーに使用するのもおすすめです。
肌触りが良く、皮膚や健康に良いとされる機能があるのでお肌に直接触れる枕カバーに使用するのも良いかもしれません。
シルクの艶のあるテクスチャは、お部屋の雰囲気がワンランクアップしてくれます。
シルクのマスクも人気を集めています
肌に優しく、高級感のあるシルクのマスクはラグジュアリーな感じを出せるので、素材やデザインにこだわる人にもぴったりです。
シルクの持つ上品な光沢が顔をぱっと明るくしてくれます。
人の肌に近いタンパク質でできているシルクは、肌なじみがよく長時間着けていても負担になりにくいと言われています。
通気性や保湿性にも優れているので、肌が敏感な人にもシルク素材はおすすめです。
マスクを一日着けているのが当たり前になった今、1枚は持っておいてもいいかもしれません。
綿素材と重ねてマスクを作る場合は、シルクを内側の肌に直接当たる部分に使えば肌触りの良いマスクが作れます。
おすすめのシルク生地
綿やレーヨンなど様々な種類の糸と掛け合わせて織られた素材をご紹介。
もちろんシルク100%のものもございます。
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