ウールはとても身近な素材でメンズもレディースも関係なくあらゆる場所で利用されている素材です。
温かみのある素材で秋冬や寒さの残る春先の防寒目的で使用するイメージが強いと思います。
実は夏にも大活躍で、冬用に使われる糸よりも細く撚った糸のサマーウールは涼しく快適。
とても機能性の高い素材「ウール」の魅力を特集していきます。
1.ウール素材とは?
ウール素材と聞くと、靴下・セーターなどの衣料品やハンドメイド作品によく使われる羊毛フェルトのような毛足の長いふわふわした生地を思い浮かべますよね。
ウール(wool)とは羊の毛(羊毛)を原料とする動物繊維。
洋服の衣類表示タグに「ウール」と書いてあれば羊毛のことを指します。
ちなみに「毛」と書いてあれば動物繊維全般のことになります。
(カシミヤ、アルパカなど動物の種類が書いてあることもあります。)
ですが、広い意味で毛糸を用いた毛織物全般のことを「ウール」と総称する場合もあります。
2.ウールの種類
ウールは使用される素材によって様々な種類に分かれます。
私達の身近で活躍しているウールをご紹介します。
羊
羊毛は動物繊維の中でも世界で圧倒的なシェアを誇る素材です。
一口に羊毛と言っても羊の品種によって様々な呼ばれ方をします。
その中の代表的な品種が「メリノ種」です。
メリノウールとは、メリノ種の羊の毛のことを指します。
メリノウールは羊毛の中でも細くて白い繊維が特徴で高品質なことで知られています。
羊毛の種類はほかにも、編み物などの毛糸に使用される「コリデール」
絨毯、カーペットやラグに人気の高い「ロムニー」などが有名です。
ヤギ
高級品として知られる「カシミヤ」はカシミヤヤギという品種のヤギから取れる素材です。
毛質は細くて柔らかく、独特のぬめりがあるのが特徴です。
保温性、保湿性に優れ肌触りもよく、上品な光沢感から「繊維の宝石」とも呼ばれます。
ヤギ1頭から150g~250gしか取れないためとても生産量が少なくとても高価。
大人用セーターを1枚作るのにヤギ4頭の毛が必要なんだそうです。
ウサギ
アンゴラウサギから採取できる毛のことを「アンゴラ」と呼びます。
アンゴラの繊維は中空になっており断熱材のように空気を溜め込む力が強いため保温力が高く一般的なウールの3倍とも言われています。
シルクのような質感で、高級獣毛のひとつです。
ウールや化学繊維と混紡されますが、表示は「アンゴラ」となることが多いです。
冬になるとアンゴラ混の靴下やインナーなどもよく目にしますね。
また、アンゴラヤギというヤギもおり、そのヤギから採取された毛のことは「モヘア」と呼びます。
アルパカ
アルパカは南米のアンデス山脈の高地に生息するラクダ科の動物です。
アルパカの毛は過酷な自然環境から身を守るため細くて柔らかく
中が空洞で温かい空気を溜め込むため、防寒性に優れています。
しっとり滑らかな触り心地でウールよりもチクチクする感じはありません。
天然の毛色はなんと25色もあります。
アクリル・ポリエステル
アクリル、ポリエステルは合成繊維です。
アクリルは羊毛のような風合いで柔らかく、肌触りがいいのでウール(羊毛)の代用としても使われる素材です。
ウールより安価で耐久性が高いというメリットがあります。
ポリエステルは単体で使われるより、他の繊維と混紡されることが多いです。
ポリエステルと天然繊維を組み合わせることで、丈夫で型くずれしにくい洋服を作ることができます。
デメリットはウールに比べてアイロンなど熱に弱いことや、摩擦により毛玉ができやすいことが上げられます。
ウールの生産地
ところでウール(羊毛)はどこで生産されているのでしょうか?
日本では生産されているの?と思いますよね。
羊毛の主な生産国はオーストラリア、ニュージーランド、中国です。
日本で消費されるウールのほぼ100%が海外からの輸入に頼っています。
日本でも羊の飼育はされていますが、ほとんどが食肉用です。
世界的シェアを誇る「メリノウール」は、オーストラリアが最大の産出国です。
3.ウールの特徴
メリット
☆保温性がある
ウールは冬だけでなく、どんな季節にも利用できる素材です。
羊毛はクランプと呼ばれる縮れた構造になっていて、それらが複雑に絡み合うことでたくさんの空気を含むことができます。
それによって温かい空気を逃がしにくいので、冬は冷たい空気から守ってくれる効果があります。
繊維自体にも空気を含み、熱が伝わりにくい構造をしているため
夏の暑い空気にも影響されないので夏用としても利用されています。
☆吸湿性に優れる
羊毛は綿(コットン)の2倍もの吸湿性があると言われています。
汗で濡れても吸着熱を発生させるため、汗冷えしません。
また、綿は繊維全体で水分を吸収するため表面が濡れた感触がありますが、ウールは繊維内部に吸収するのでサラッとしています。
☆汚れがつきにくい
ウールは油分を含んでいるので、撥水性があり汚れがつきにくい特性があります。
もし汚れがついてしまっても、ブラッシングで取ることができるなどお手入れがしやすいのもポイントです。
☆シワになりにくい
ウールは弾力性があり、回復力が高いためシワになりにくい性質があり型崩れもしにくい素材です。
そのため少しのシワならハンガーで吊るしておくだけで簡単にシワを伸ばすことができます。
(長時間かけっぱなしにしてしまうと逆に伸びてしまうので注意!)
☆伸縮性がある
ウール繊維には縮れがあるため伸縮性があります。
厚手の服やアウターでもウール素材なら程よく伸びるので着やすいという特徴があります。
デメリット
☆毛玉になりやすい
ウールは摩擦に弱く、毛玉になりやすいという性質があります。
繊維がうろこ状になっているため絡みやすいのが原因です。
ひどい場合はフェルトのような状態になってしまいます。
スーツのパンツのお尻の部分がテカテカしてくるのも
長時間圧力がかかっていたことによってフェルト状になってしまうからです。
☆虫食いがおきやすい
ウールは動物繊維の一種で、主成分がタンパク質になります。
他の素材に比べて虫食いの被害に遭いやすく、シーズンオフなど自宅で収納しておく場合は注意が必要です。
食べ物のカスやホコリがついたままだと虫食いの原因になりやすいので、キレイな状態で必ず防虫剤を入れて保管するようにしてください。
☆洗濯すると縮む
ウールは水の影響を受けやすく、洗い方を間違えると硬くフェルト化して縮んでしまうことがあります。
さらに、洗濯によって油分が失われるとウール本来の風合いを損ねる可能性があります。
4.ウールのお手入れ
普段のお手入れ方法
ウールは汚れにくい素材なので、過度なお手入れや毎回の洗濯は風合いを損ねてしまう可能性があります。
普段のお手入れはブラッシングと風通し(乾燥)だけで十分です。
着用後は柔らかいブラシで毛流れに沿って優しくブラッシングをして表面に付いたゴミやホコリを取り除きます。
また、毛の流れを整えることで毛玉になるのを防いで見た目にもキレイな状態を維持することができます。
風通しの方法はとても簡単。
着用後に軽く形を整えて、湿気の少ない場所にハンガーなどでかけておきましょう。
繊維に空気を通して、こもった湿気や汗を乾かすと雑菌やカビなどの繁殖を防ぐことができます。
注意点は日光で変色(黄変)してしまうので、できるだけ日の当たらない場所で風通しするのがコツです。
洗濯方法
デメリットの中でも紹介したように、ウールは洗濯が難しい繊細な素材です。
お気に入りの服や大切なアイテムは、できるだけクリーニングに出すのがおすすめです。
また、洗濯表示タグに「洗濯マーク」「手洗いマーク」がついていれば自宅で洗濯することができます。
手洗いする場合は、30℃以下の水で優しく押し洗いをしてください。
洗濯機で脱水するときは洗濯ネットに入れてやさしく脱水します。
ウールはアルカリに弱い素材なので洗濯洗剤も漂白剤や蛍光増白剤を含んでいない中世洗剤(おしゃれ着用洗剤)を使用しましょう。
ウール製品の中には色落ちしやすいものもあるので、初めて洗濯をする場合は色落ちしないかチェックすると安心です。
保管方法
ウールをしまう前に汚れを落として乾燥させます。
ウールなど動物繊維は虫食いの被害に合いやすい素材です。
長期間タンスやクローゼットで保管するときは必ず防虫剤を入れて保管します。
カビも発生しやすいので除湿剤も忘れずに入れるようにしましょう。
5.ウールマークとは?
ウール素材の服に『ウールマーク』の付いたタグを見たことはありませんか?
ウールマークとは、ウール製品の品質を保証した世界で認知されているブランドです。
ザ・ウールマーク・カンパニーが定める厳しい審査基準をクリアした製品に付けられます。
基準の一つに『羊の新毛を使った製品である』ことが上げられます。
また、混率によってマークに違いがあります。
【PURE NEW WOOL(ピュア・ニュー・ウール)】
新毛を100%使用し、決められた品質基準を満たしている。
【WOOL RICH BLEND(ウール・リッチ・ブレンド)】
新毛を50%~99.9%使用し、決められた品質基準を満たしている。
【WOOL BLEND PERFORMANCE(ウール・ブレンド・パフォーマンス)】
新毛を30%~49.9%使用し、決められた品質基準を満たしている。
ウールマークは衣類のほか、寝具やインテリア製品にも付けられています。
ウール素材を使ったアイテム
ウール素材はファッションにはもちろん、様々な所で利用されています。
定番のマフラーやストール。
トップスに欠かせないvネックセーターやベストなどのニット製品。
ダウンジャケットやpコートなどのコート類。
普段着にもできるジャケットやワンピース、ズボン、スカートにもウールが使用されているものもあります。
冬物のバッグにもよく使われますね。
小物ではフェルト素材のハット。
赤ちゃんのおむつカバーにもウール素材はおすすめです。
なんとウールは着物の素材としても使われていました。
昭和中期に流行しましたが、今ではほとんど作られていないそうです。
6.まとめ
ウールはどんな季節にも使用することのできる素材です。
テキスタイルネットでは、様々なデザインのウール生地を扱っています。
ぜひチェックしてみてくださいね。