
日々、何気なく履いているデニムパンツ。
カジュアルな装いの定番として、私たちの生活にすっかり馴染んでいます。
しかし、その一本のデニムに、どれほどの生産者の思いやストーリーが詰まっているか、ご存知でしょうか。
国産ジーンズの聖地として知られる岡山県倉敷市・児島地区は、世界中のデニムファンを魅了し続けています。
今回は、そんな児島で活躍するデニム生地生産者、株式会社オールブルー(以下:敬称略)を、テキスタイルネットチーム(以下:テキネチーム)が訪ねました。
1.児島へ到着 〜デニムの街への旅路〜

岡山駅で新幹線を降り、瀬戸大橋線に乗り換えて「上の町」駅へ。
車窓から見える景色は、徐々に都会の喧騒から離れ、のどかな田園風景へと変わっていきます。
児島地区は、国産ジーンズ発祥の地として知られ、今や世界的なデニムブランドが集まる場所です。
駅に降り立つと、空はどんよりと曇り、やがて小雨が降り始めました。
目的地までは徒歩で約30分。
傘を差しながら歩き始めたものの、このままでは約束の時間にたどり着けるのか??とテキネチームの頭に不安がよぎります。
そんな中、道すがら立ち寄った小さな商店で、店主の方が親切にもタクシー会社に連絡をしてくれました。
旅先でのこうした温かい人との出会いは、心に残るものです。
仕事の手を止めて、タクシーを呼んでくださった店主に感謝です!
タクシーに乗り込み、通りをまっすぐ進みます。
目的地は急勾配の細い道を上っていくので、あとは徒歩で行くことに。

やがて目的地である株式会社オールブルーの社屋が見えてきました。

周囲は静かで、どこかものづくりの気配が漂っています。
2.㈱オールブルー訪問

社屋に一歩足を踏み入れると、そこはまさに“デニムの世界”。
エントランスもデニムカラーで統一され、壁や棚には様々なデニム生地が並びます。
まるでデニムの森に迷い込んだかのような感覚です。細部にまでこだわりが感じられます。
迎えてくださったのは、担当の福本さん。
企画や制作、テキスタイルネットなどのEC業務も担当されている多才な方です。
印象的だったのは、ヘアもネイルもデニム色にコーディネートされていたこと。
デニムへの愛情とセンスが全身から伝わってくる、とてもおしゃれな女性でした。
代表の藤井社長と福本さんの案内で、社内を見学させていただきました。

経年変化を楽しむ
児島デニムは、インディゴ染料を使った「ロープ染色」という技法で染められています。
この技法により、糸の表面だけが染まり、芯は白いまま残るため、履き込むほどに独特の色落ちが楽しめます。
履き込む、着込んでいくことで生まれる、生地の経年変化。
この経年変化が、なんといってもデニムの魅力です。
オールブルーおすすめの、デニムの色落ちが魅力のアイテムをいくつか紹介いただきました。

左のパンツは、幾度となく履き込まれることで、色味に独特の深みと風合いが生まれ、生地には自然なこなれ感が宿っています。
一方、右のパンツはワンウォッシュ仕上げで、まだ新品に近いフレッシュな色合いが残り、これからの経年変化への期待を感じさせます。

左のジャケットは、長年着込まれてきたことで、ヴィンテージならではの深い味わいと風格が漂っています。
一方、右のパンツも、しっかりと履き込まれたことで、独特の風合いと存在感を放つヴィンテージアイテムに仕上がっています。
3.社長の思い 〜唯一無二のデニムを目指して〜
「今までにない、かっこいい色のデニムを作りたい。」
この言葉に、オールブルーのものづくりへの情熱が凝縮されています。
オールブルーは、2025年現在、創業14年目の比較的新しく、若く勢いのある会社です。
藤井社長にものづくりへの思いを伺った際の、前述のコメントでした。
ヴィンテージ感や色落ちの美しさ、とにかく“味わい深い”デニムを追求するという信念のもと、創業以来、常に新しい挑戦を続けてきたそうです。
単なる生地づくりにとどまらず、デニムを通じて人々の暮らしや思い出に寄り添いたいという想いが伝わってきました。
3.オールブルーのおすすめラインナップ
㈱オールブルーが提供するデニム生地の中でも、特におすすめのものをご紹介します。
①まずはこれ!オールブルーオリジナルデニム
②ストレッチデニム

動きやすさを重視したストレッチデニムは、日常使いに最適です。柔らかい履き心地ながらも、しっかりとした耐久性を兼ね備えています。
AB-501 と AB-501ST のストレッチの比較を画像でご覧ください。
AB-501STは、ポリウレタン2%が混紡されているため、1wayの伸び(タテ/ヨコ、どちらか1つが伸びること)が確認されました。
4.児島ジーンズストリートへ

オールブルーをあとにし、藤井社長に児島ジーンズストリートまで送っていただきました。
児島はもともと学生服の生産が盛んな街。
下校途中の小学生たちが学生服姿で歩く光景が新鮮でした。
テキネチームの住む浜松市でも、学生服を着用する小学生は浜松市北部と南部にちらほらと見られますが、かなり少数になってきました。
瀬戸内海を望む美しい景色も印象的です。
潮風が香る小雨の中、ジーンズストリートへ。
ここは、デニム専門店が軒を連ねる、まさにデニム好きにはたまらないエリアです。
通りにはデニムが吊るされており、その風景は児島ならではのもの。
思わず写真を撮りたくなる、かっこいい光景です。
いくつかの専門店に立ち寄り、店主の方々からこだわりのデニムやデザインについて話を伺いました。
それぞれのショップが持つ個性や情熱、そして児島のデニム文化を大切にする姿勢に、改めてこの街の奥深さを感じました。
5.まとめ

児島は、長い歴史と今のトレンドが共存する街です。
学生服から始まり、今や世界に誇るデニムの産地へと発展してきました。
その背景には、確かな技術と情熱を持った職人たちの存在があります。
オールブルーの挑戦も、そんな児島のものづくり精神に支えられています。
新しい色や風合いを追求し続ける姿勢は、これからのデニムの可能性を広げていくことでしょう。
今回の訪問を通じて、デニムという素材の奥深さ、そして児島という街の魅力を改めて実感しました。
日常の中で何気なく履いているデニムパンツも、こうした人々の思いや技術が詰まっていることを思い出しながら、これからも大切に履いていきたいと思います。
オールブルーの今後の挑戦、そして児島のデニム文化の発展を、これからも見守り続けたいと思います。
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