秋が深まるにつれて、アウトドアを楽しんだり、お出かけする機会が増えますね。
そんな今年の秋は雨や湿気に強い撥水加工生地で快適さとおしゃれを両立しませんか。
テキスタイルネットでは、これからの季節にぴったりな撥水加工生地を取り揃えました。
また、現在、世界的に撥水剤に使用される有機フッ素化合物(=PFAS/ピーファス)を使わない。サステナブル素材が人気です。
そんな有機フッ素化合物(=PFAS/ピーファス)を使わない撥水剤である、C0(シーゼロ)撥水加工をした撥水生地(C0撥水加工)と生地の魅力をたっぷりご紹介いたします。
-目次-
1.撥水のしくみ
撥水(はっすい)とは、水をはじくこと。
撥水加工とは、生地を撥水剤で処理し、生地についた水滴を球状にはじく性能を持たせることです。
布目の隙間を塞ぐことはしないため、空気や蒸気を通し、通気性が保たれるのが特徴です。
2.撥水剤に使用される有機フッ素化合物(PFAS)
撥水加工に使われる撥水剤。
撥水剤の多くは、 「有機フッ素化合物(=PFAS/ピーファス)」を元にし、「炭素(C)」と「フッ素原子(F)」で構成されています。
PFASは、「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」と呼ばれ、
水や油をはじき、熱に強く、自然界でほぼ分解されないため、人体や自然環境に長く残ります。
(「永遠の化学物質」は、PFASのほか、PFC、PFOAなどの頭字語で最もよく知られています)
繊維製品によく使われるPFAS撥水剤は、「C8」と「C6」の2種類があり、数値が高いほど撥水性能が高いという見方です。
現在は、「C8」は健康被害の懸念により、2009年以降に世界的に規制され、一般的な衣料品には使われていません。
一般的な衣料品には、主に「C6」撥水剤が使用されています。
C6撥水剤は、「PFHxS」と「PFHxA」があり、
前者の「PFHxS」は、健康への悪影響が懸念され、日本では製造されていませんが、2023年6月より、海外からの輸入も禁止となっています。
後者の「PFHxA」は、C8撥水剤と比べ健康への被害がはるかに小さいとされ、使用や製造の規制はされていません。
しかし、欧州(EU)では、「PFHxA」の使用制限について法整備が進められていることもあり、今後も規制が厳しくなる見込みがあります。
3.非フッ素(C0)化の動き
今、世界では有機フッ素化合物(PFAS)を使わない動きが広がっています。
そして、フッ素化合物(PFAS)を含まない、C0(シーゼロ)、フッ素フリーが注目されています。
C0撥水剤を使った生地は、人体や自然環境への影響がほぼないと考えられ、まさにサスティナブル素材といえます。
おすすめ!C0撥水加工の生地
▼ナイロン100%のC0撥水生地▼
□素材混率:ナイロン 100%
□特徴:タテヨコに50Dのセミダルナイロンを使用したタフタ素材で、上品な光沢感がワンランク上を表現してます。
C0のダントツ撥水加工を施しているので水キレもバツグンです。
□素材混率:ナイロン 100%
□特徴:タテ:N70D x ヨコ:N200Dで高密度に織り込んだツイル素材です。程よい光沢感でMA-1などのミリタリー系アイテムに最適な素材です。
□素材混率:ナイロン 100%
□特徴:繊維廃棄物から再生されたナイロンを使用したReCONHny®(リコンフィー®)シリーズ。程よい光沢感とナイロン特有のしなやかでソフトな風合いの薄手素材です。
さらに軽くて丈夫なKARUJOBシリーズは20デニールという超細番手ながら引き裂き強度は劣らず防風性を持った高機能性が特長です。リサイクル原料使用率100%です。
□素材混率:ナイロン 100%
□特徴:繊維廃棄物から再生されたナイロンを使用したReCONHny®(リコンフィー®)シリーズ。リップストップで程よい光沢感とナイロン特有のしなやかでソフトな風合いの薄手素材。
さらに軽くて丈夫なKARUJOBシリーズは20デニールという超細番手ながら引き裂き強度は劣らず防風性を持った高機能性が特長です。リサイクル原料使用率100%です。
□素材混率:ナイロン 100%
□特徴:生地製造工程で破棄される糸、生地を回収し、再生ナイロン繊維を生産しております。人体や環境への影響を配慮しており、<フッ素化合物>を全く含んでいない非フッ素撥水加工になります。
▼ポリエステル100%のC0撥水生地▼
▼ナイロン混ポリウレタンのC0撥水生地▼
□素材混率ナイロン 89%/ポリウレタン 11%
□特徴:繊維廃棄物から再生されたナイロンを使用したReCONHny®(リコンフィー®)シリーズ。優れた伸縮性で快適な着心地を提供する、やや薄手のウェザーです。しなやかなハリコシ感があり、ナイロン特有のさらっとしたドライなタッチとナチュラルでマットなルックスが特徴。
▼ポリエステル混合のC0撥水生地▼
□素材混率:ポリエステル96%/ ポリウレタン4%
□特徴:紡績前のペレット原料に直接着色することで、色の安定性・堅牢度に優れたe.dyeシリーズ。
マテリアルリサイクルしたポリエステルペレットを使用しています。また水を使わない染色方法のため環境負担を軽減することができるサスティナブル商品です。
やや薄手でマットな質感と、さらりとした風合いを持ちます。ポリエステルながら抗ピリング性に優れ、ヨコ方向への適度なストレッチ性は快適な着心地を提供します。リサイクル原料使用率82%です。
▼コットン混合の撥水生地▼
□素材混率:綿65%/ポリエステル35%
□特徴:経糸にコットン、緯糸にポリエステルを使用した交織素材。色目によってはコットンサイド、ポリエステルサイドを異色で染分けしています。それによりいわゆる玉虫調を表現。アウター・ボトムアイテムに最適で、最もナウな撥水素材です。
4.C0撥水のメリット・デメリット
メリット
・人体や自然環境への影響がほとんどない。
・海外への製品輸出の際、基準を満たしている。
C0撥水のメリットは、なんといっても人体の健康と自然環境にやさしい、というのが魅力ですね。
マクドナルド、アマゾン、アウトドアブランドに撥水コーティングを提供するゴア社など、
PFASの使用を全廃することを、海外含め各メーカーが宣言している背景があります。
国内でも流通の多いC6撥水剤「PFHxA」は、使用についての規制はまだなく、健康への被害がはるかに小さいとされています。
しかし、今後の製品製造、輸出入の観点からも、C0撥水剤の使用がさらに推進されていくでしょう。
デメリット
・有機フッ素化合物を使用していないため、撥油性がない。
・撥油性がないため、ドライクリーニングに向かない。
※撥油性(はつゆせい)とは?
撥水加工と同じように、衣類の表面張力より油の表面張力を小さくすることで、油をはじく性能のこと。
皮脂汚れ、機械油汚れなどの油よごれに対して防汚性能があります。
有機フッ素化合物は、撥油性がありますが、C0撥水ですと、油汚れの防汚効果は期待できません。
お手入れで気をつけることは?
・摩擦に弱いため、やさしく洗濯。
・油汚れに弱いため、中性洗剤でやさしく拭き取るケアが◎。
・洗濯時に、柔軟剤、蛍光増白剤、漂白剤は撥水性能が落ちるため、使用しない。
C0撥水に限らず、撥水加工の生地は、熱で回復しますのでこちらがおすすめ。
・ドライヤーを当てる。
・低~中温のアイロンを当てる。
洗濯しても効果が落ちにくく、撥水効果が減ってきても、アイロン(プレスする)ことで効果が復活するのはうれしいですね。
5.まとめ
一口に撥水加工の生地と言っても、環境やヒトにやさしい、C0(シーゼロ)撥水剤について特集しました。
水を多く使わない染色技術や、CO2(二酸化炭素)や化学物質の排出を抑えた工程、リサイクル可能な糸を使用…。
どの生地も、地球の未来を見据えた商品となっています。
ナイロン100%、ポリエステル100%、コットンやポリウレタンなどを混合した撥水生地があります。
用途や風合いなどに応じて、色数も豊富な撥水加工の生地をぜひお試しいただきたいですね。
これからの梅雨の季節や、アウトドア衣料や雑貨等、撥水機能のある製品は欠かせないものとなります。
地球の未来、世界の動きを見据えた、ヒトと環境にやさしい、C0撥水の生地を使ってみませんか?