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糸の芸術 レースの種類

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今回はレースの種類についての特集です。
レースといっても、競馬やモータースポーツのようなレース(Race)ではありませんよ~!
手芸で使われるレース(Lace)のことです。
レースカーテンでもお馴染みですね。

服飾やアパレルなどのハンドメイドに欠かせない存在のレース。
レースには大きく機械編み手編みの2種類に分けられます。
種類ごとにご紹介していきます。

 

機械レース

 

エンブロイダリーレース 生地にエンブロイダリーレース機によって透かし模様の刺繍加工をほどこしたもの。
刺繍レースとも呼ばれます。
レースの中で広範囲に使用され、生地がそのまま残ったチュールレースや綿レース
生地部分が溶解されて刺繍糸だけ残ったケミカルレースと分類されます。
ケミカルレース 連続模様を刺繍をした後、下生地を溶かして刺繍糸のみを残す方法で作られます。
下生地は水(お湯)で溶ける水溶性ビニロンという素材で作られており、溶解後はその成分が糸に残ることはありません。
以前は綿や絹を下生地に使用しており、化学処理で生地を溶解していたため『ケミカルレース』という名前が付けられました。
他のレースと違い、一つずつカットできるのでアップリケとしても使用できます。
綿レース 綿生地をベースに刺繍をかけたもの。
エンブロイダリーレースが作られた当初、基布は綿素材が主流だったことに由来します。
現在はさまざまな素材に刺繍がされているため、各種素材(布帛、ニット生地など)に刺繍をかけたものは総称して生地ものレースとよばれています。
洋服やカフェカーテンなどにも使用されています。
リバーレース リバー編機で作られたレースのこと。
組紐や網をルーツとし、装飾品として16世紀のヨーロッパで誕生しています。
ごく細い糸をいろいろな模様に撚るように編まれているレースです。
繊細で優美な表情があり表現の豊かな柄が特徴です。
細い糸を10,000~20,000本も使用し複雑な組織をつくり、リバーレースの機械は現在限られたメーカーのみが保有しているため機械レースの中でも高価となります。
オートクチュールの高級感あふれるウエディングドレスなどにもよく使われます。
19世紀の初めにイギリスのジョン・リバーが開発したことからこの名が付けられました。
(※)オートクチュールとは、高級衣装店のこと。顧客のためにデザイナーが完全オリジナル衣装をデザインするもの。
ラッセルレース ラッセルレース編機という経編(たてあみ)機で作られたレースのこと。
糸を編みながら模様を作り、薄く平らに仕上がるのが特徴です。
リバーレースより安価に作るために考案されました。
トーションレース トーションレースは糸を組んで作るレースです。
イタリアのトーション地方で生まれ、ドイツのバーメンで育ったと言われ、中世ヨーロッパの王侯貴族の間で襟や袖飾りに使用して着飾りました。
組紐機と同様にボビンに巻かれた糸を交差させながらジャガード装置によって柄を作り出す細幅の組レース機を使用します。
太い糸(麻糸や木綿糸)で編まれているものが多く、手編みのレースに似ています。

 

手編みレース

 

ニードルポイントレース 針と糸のみで作られるレースです。
ベネチアが発祥の地として知られています。
広義には刺繍レースもニードルポイントレースであるため、区別するために『ニードルレース』とも呼ばれます。
ニードルポイントレースは形や立体感を自在に表現できることが特徴のレースです。
下絵の描かれたパーチメント(羊皮紙や紙)にボタンホールステッチでモチーフの輪郭を施します。
空中で糸と糸の間を埋め、最後にパーチメントから切り離しレースのみを残します。ハンカチや衣服等の装飾に使われました。
ボビンレース ボビンレースは織りの技法を用いて作られたレースです。
糸をボビンと呼ばれる糸巻きに巻いて、ピンで固定しながら平織り、綾織り、重ね綾織りの3種類の織り方でレースを織っていきます。
高度な技術が必要で作成に膨大な時間がかかるため、現代では市場に出回ることがほとんどありません。
アンティークレースや愛好家により同等の技術で作成されたレースは「糸の宝石」とも呼ばれます。
クロッシェレース 「クロッシェ」とはフランス語で鉤(かぎ)という意味。
かぎ針を使って1本の糸で編んでいくレースのことで、立体的なモチーフが特徴的です。
アイルランドで発展したアイリッシュクロッシェレースは特に有名です。
野花や葉のモチーフを太い糸で作り、周りを波形のレースで縁取っています。
いまでも家庭の手芸として親しまれており、手作りならではの暖かい風合いが特徴です。
カットワーク 布レースの一種であり、白糸刺繍とも呼ばれます。
布地に刺繍を施し、内側を切り抜いてレース模様を作る手法です。
切り取る部分が大きいときは、間に糸(ブレード)を渡すこともあります。
7世紀にはヨーロッパで高度な技法が見られ、後のニードルポイントレースの基となりました。
ドロンワーク 刺繍の一種で、布地に模様を描く技法の総称です。
布地の横糸または縦糸、あるいはその両方を引き抜き残った糸をいろいろにすくって透かし模様を作ります。
バテンレース リボン状のテープを模様の形に台紙にとじつけてテープ同士を縫い付け、隙間を縫い針で埋めて作られます。
テープレースとも呼ばれます。
フィレレース フィレとはフランス語で「網」という意味です。
魚網と同様の技法で作成した網目に刺繍で模様を施したレースの総称です。
漁網の起源は原始時代までさかのぼり、レースとして作られるようになったのは13世紀からと言われています。
イタリアの漁師の妻たちによってレースのような形になり、17世紀以降には婦人たちの手芸として発展していきました。
レティチェラレース カットワークの一種で、このレティチェラレースが発展してニードルポイントレースが生まれたとも言われています。
1540年代にベネツィアの刺繍師たちによって発明されました。
インテリアとして使用されていましたが、高貴な人々の襟やカフスなどの飾りに使われるようになりました。
現在でもウエディングドレスなどに使用されています。

 

レースの模様

 

花柄 花の種類は問わず、なんらかの花の模様を使用した柄の総称。
花柄のレースは定番と言っていいほど人気の柄ですよね。他にも植物もモチーフにした柄は多く、花の無い葉や茎の柄などもあります。
(ボタニカル柄という名称が使われることもあります)
KKF8575-1 片耳スカラN/Rコードレース
アイレット 「小さな目」という意味の英語で、日本語ではハトメ(鳩目)と呼ぶ。
布に小さな穴を開け、ボタンホールステッチで細かく縁縫いをしたもの。
KCL518-233 60ローンレース
スカラップ ファッション用語では半円の縁取りのことをスカラップと呼びます。
英語で「ホタテ貝」の意味を持ち、その名の通りホタテ貝を並べたような半円の波型の縁や模様のことです。
KKF8552-54 スカラレース

 

レースの歴史

 

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レースの歴史は古く、古代エジプトの遺跡から一種のボビンレースが発掘されています。

レースの起源は諸説あります。
・衣服の傷んだ部分を繕うための「かがり」
・織られた布の端が解けないようにするための「ふさ」
・漁網として使われていた「ネット」

 

装飾目的のレースの登場

装飾を目的としたレースが登場したのが15世紀から16世紀頃。
イタリアではニードルポイントレースが生まれ、ボビンレースが芸術性の高いレースとして発達し、ヨーロッパ各地へ広まっていきました。
16世紀後半にはさらに普及し女性のたしなみとされました。
レース学校や工場が建てられ、手工レースは産業の一つとされ、18世紀に入り技術、需要ともに最高潮となり上流階級の衣服を飾る高級品となります。

その後、産業革命を期にレースの機械化が進みます。
1813年に現在のレースの原型となるリバーレース機が誕生しました。
レースが機械生産になったことで一般の女性の間でも広く普及していきました。

日本でも1920年代にレース機が輸入され、洋装化も広まっていたことから刺繍レースの需要が高まっていました。
1950年代には高度経済成長の流れを受けて、生産規模の拡大、エンブロイダリーレース機の国産化をします。
現在も石川県を中心に北陸地区や北関東地区で職人による高い技術と知識でエンブロイダリーレースを生み出しています。

 

最後に

レース生地は高級感のあふれる生地で、あらゆる衣服やインテリアアイテムを瞬時に引き立てます。
複雑な模様と繊細な質感を持つレース生地は、本当に印象的で人目を引きます。
精巧なデザインと繊細な職人技は、世界中の生地屋の技術と芸術性の証です。
 
レース生地は、ファッションや室内装飾に長い間使用されてきました。
エレガントなイブニングドレスから繊細なランジェリー、インテリアではカーテン、テーブルクロス、優雅さと洗練さを加えることができます。
 
衣装を作りたい場合でも、インテリアに魅力を加えたい場合でも、レース生地は用途が広く、時代を超越した生地です。
華やかなデザインと豪華な質感のレース生地、ぜひ取り入れてみてはいかがですか。
 

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