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繊維の用語 染色の丈夫さを示す『堅牢度』とは

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堅牢度(読み方:けんろうど)とは、染色された生地の色落ちや色移りなどに対する強さを表すものです。

染色された生地は洗濯、摩擦、光などによる変退色のしやすさを試験し数値化します。

JIS規格、海外規格(ISO、AATCC、GB等)などで変色しないか等を確認するための試験方法が規定されています。

テキスタイル業界ではその規格を用い、生地や糸の染色堅牢度を事前に確認することで、品質保証に一役買っています。

 

 

【1.堅牢度について】

 

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「堅牢(けんろう)」とは丈夫さ、抵抗性を意味する言葉です。

簡単に言うと「色の変わりにくさ」「色落ちのしにくさ」のことです。

染色堅牢度とも呼ばれ、「変退色」と「汚色」の2種類があります。

変退色とは変色、退色を合わせた言葉で、汚色とは周囲に色移りしていく現象のことです。

 

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例えば、色の濃いTシャツを洗濯したときに、色が抜けてしまい薄い色に変化してしまうことがあります。

これはTシャツの色に変退色が生じたことになります。

また、色の濃いTシャツと白いTシャツを一緒に洗濯したときに、白いTシャツに色が移ってしまうことがあります。

この場合は色のついたTシャツが白いTシャツを汚染(移染)してしまったことになります。

 

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堅牢度の数値は1級~5級までを半階刻みにした9段階評価となります。

1級 → 1-2級 → 2級と表記します。

数値が大きいほど染色に対して堅牢性が高い、小さいほど低いとされます。

 

染色堅牢度試験を実施した後に、その結果を評価するために「判定」を行います。

視感法と呼ばれる目視による判定が一般的で、「グレースケール」という基準物を用います。

このグレースケールと試験した資料を比較して級数を決定します。

 

品質管理の点でもこうした試験を行うことで、染色された製品を使用中に
変色を起こして思わぬトラブルに発展してしまうのを防ぐことに繋がります。

 

染料と顔料の違い

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布などを着色するために使う染材料には「染料」と「顔料」の2種類あります。

この2つの違いを簡単に言うと

染料とは水に溶ける色素

顔料とは水に溶けない色素となります。

 

染料は繊維の奥までしっかりと染めることができ、
適切な加工を施すことで繊維から色が抜け出さない安定性を保つことができます。

顔料は繊維に染み込むことはなく、樹脂などの接着剤に色の粉を混ぜて
表面に付着させることで染める方法で、耐光性、耐熱性に優れているものもあります。

 

ちなみにこの染料と顔料には人工的な合成染料(顔料)と天然染料(顔料)が存在します。

天然染料(顔料)を使用して染める方法の中に「草木染め」というものがあります。

コーヒーや紅茶、玉ねぎなどを煮出して色を抽出し、染めたい布を直接染料へ浸して染める染色法です。

自宅でも気軽に楽しめる染色なので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

【2.堅牢度の種類】

 

衣料品やタオルなどの日常的に使うアイテムは生地の取り扱いに注意していないと
いつの間にか色が変わってしまっていたということがよくあります。

洗濯(洗剤や漂白剤を使用)、汗や摩擦、日光やガス、温度、プリントの剥離など、
染色やプリントした生地の色は様々な原因で変化してしまいます。

こうした様々な原因別に分かれた試験法で染色堅ろう度を評価しています。

 

水堅牢度

水堅牢度は、生地(試験片)を水に濡らし、変退色と汚染がどれくらい起きるかを確認します。

変退色は水に濡らす前と後の布を比較してどれだけ退色したかを確認します。

汚染はコットンやポリエステルなどの様々な素材の白布と試験片とを一緒に水に濡らして色移りするかを確認します。

この白布のことを「添付白布」と呼びます。

 

洗濯堅牢度

洗濯堅牢度とは家庭で洗濯した際にどれだけ色落ちや色移りするかを評価したものです。

家庭での洗濯を想定し、水試験に加えて洗剤や乾燥条件などが加わります。

改善法は水堅牢度での対策と同じになります。

 

汗堅牢度

人の汗で変色するかどうかを確認します。

試験方法は人の汗と同じ成分の液剤に生地(試験片)を浸して確認します。

汗の成分は食生活や生活習慣で変わるため、酸性とアルカリ性の両方で試験します。

スポーツ向けの生地では特に重要視される項目です。

 

摩擦堅牢度

摩擦堅牢度とは生地がこすれた際にどれだけ変退色、色落ちするかを評価したものです。

乾燥した生地を使用する「乾燥試験」と、濡らした生地を使用する「湿潤試験」の2種類があります。

 

耐光堅牢度

耐光堅牢度とは光による変退色の度合いを評価したものです。

繊維製品を日光などの光による退色に対し、どれだけの耐性を持っているか等級で表したものです。

試験方法によって光源は変わりますが、紫外線を照射する「カーボンアーク灯光」、
太陽光に近い光を照射する「キセノンアーク灯光」が主に使用されます。

JISでは1級から8級までの基準が定められ、8級が最も堅牢度が良いとしています。

 

イエローイング

イエローイングとは、生地の黄変(黄色に変色していく現象)を、
燃焼時に発生する酸化性ガスの窒素酸化物(NOx)ガスや紫外線照射によって検査する試験です。

特に白色のナイロン生地や薄い色などの淡色の生地によく試験されます。

 

昇華堅牢度

染料が昇華現象によって変色や色移りするかを確認する試験です。

あまり聞き慣れない言葉ですが、昇華とは個体が気体になる現象のことで、
身近な例だと高温のアイロンや乾燥機にかけた時に色落ちや別の生地に色移りしたりすることを指します。

ポリエステルの生地でよく見られます。

 

色泣き試験

色泣き試験とは、濡れた状態での染料の移動による汚染の程度を評価します。

柄物などでよく見られる濃色と白や淡色の組み合わせ製品(切り替えやボーダー、水玉など)は、
濃色が淡色部分などを汚染してしまうことがあります。

用意する試験片は無地物、柄物とで異なり、
試験片を吊るした状態で希薄な洗剤の液を吸い上げて淡色部分に色が移るか確認します。

 

他にもドライクリーニングによる色の変退色・汚色を評価した『ドライクリーニング堅牢度』や
家庭洗濯の際に使う水道水に含まれる塩素などの作用で変退色するかを試験した『塩素処理水堅牢度』などもあります。

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