わたしたちが毎日着ている服。
どのように作られていて、わたしたちの暮らしや地球環境とどうつながっているのでしょうか。
今回は、環境に配慮しリサイクルで生まれた生地や素材、日本での取り組みについて紹介します。
- もくじ -
-3つの「R」
①リサイクル繊維:リサイクルポリエステル
②合成皮革、人工皮革、エコファー
1.ペットボトルのリサイクル
ペットボトルを再利用した製品は、今では生活のいたるところで使われるほど一般的になりました。
紙パック回収は、再生品としてトイレットペーパーなどに生まれ変わり、
ペットボトルは衣類や文房具などに生まれ変わります。
それらの回収やゴミ分別ルールは、小さな子どもでもイメージしやすいこともあり、
環境問題を理解するねらいとして保育園や幼稚園でも環境教育として取り入れられています。
環境省が取りまとめた資料によると、さまざまな団体や地域での取り組みとして、
自然のなかでの保育、体験型イベントを開催しています。
参考サイト:環境学習STATION(環境教育に役立つ情報サイト)
2. そもそもリサイクルって?
みなさん、3Rってご存知ですか?以前掲載しました記事、
「エコフレンドリー 環境に優しい取り組み」でも取り上げましたように、リサイクルは、3つの「R」のうちのひとつ。
reduce(リデュース):減らす
reuse(リユース):再利用する
recycle(リサイクル):再生利用する
ペットボトルがリサイクルされる流れは
ペットボトル飲料を飲む
↓
リサイクルゴミとして分別する
↓
各自治体で分別収集される
↓
再商品化
↓
利用製品化
再商品化とは、フレーク(ペットボトルを8mm角に裁断したもの)→ペレット(フレークを加熱融解して粒状にしたもの)のことです。
ペレットを綿や糸と織り交ぜ、生地になり、衣服に変化していきます。
このように、廃棄物を新たな製品の原料として再利用するリサイクルのことを「マテリアルリサイクル」といいます。
マテリアルとは、“原材料”を意味し、比較されるリサイクル法として、「サーマルリサイクル」、「ケミカルリサイクル」があります。
ケミカルリサイクルとは、
廃棄物に化学的な処理をして原料に戻してからリサイクルすることです。
廃ペットボトルを、純度の高いペットボトル原料に再生することも含まれます。
他にも、生ごみ・紙ごみ・畜産糞尿・草木類などの「バイオガス化」、
廃食用油の「ディーゼル燃料化」、「石鹸化」、
食品廃棄物や食品製造副産物などの「飼料化」といった技術も含まれています。
サーマルリサイクルとは、
廃棄物を焼却した際に発生する熱エネルギーを回収、再利用することです。火力発電や温水プールに利用されています。
ただ、少し注意したいのが、海外では、サーマルリサイクルという言葉はなく、
海外でのリサイクルの主流はマテリアルリサイクルや、モノとして生まれ変わるケミカルリサイクルです。
3.日本のリサイクル率は88.5%
では、日本でリサイクルされるペットボトルの量はどのくらいでしょうか?
「PETボトルリサイクル推進協議会」の2021年度「PETボトルリサイクル年次報告書」によると、
日本国内における2020年度のPETボトルの販売本数は233億本。
そのうち、国内で再資源化したのは344千トンで、海外で資源化したのは144千トン。
リサイクル率とは、ペットボトルの販売数に対してリサイクルされた量の割合となります。
リサイクル率=(リサイクル量)÷(ボトル販売量)
日本における、ペットボトルのリサイクル率は88.5%となっています。
これは、海外に比べて高いリサイクル率と言われていて、欧州は39.6%、アメリカは18.0%。
なぜ、日本と海外でこのような差があるのでしょうか。
日米欧のリサイクル状況比較の表(2020年)によると、ペットボトル回収率が日本は93.1%、
欧州57.5%(2019年)、米国26.6%となり、日本はダントツに回収率が高いですね。
日本では1997年に「容器包装リサイクル法」が施行されたことが、ペットボトル回収率が高いことの要因となっています。
この法律により、消費者に分別を、市町村には分別収集を求め、
ペットボトル製造業者はリサイクルを行うことが義務づけられています。
日本では消費者の分別協力があるから、高い回収率を維持できている、という結果です。
実は、日本ではペットボトルを焼却した際に発生する熱を
エネルギーとして再利用するサーマルリサイクルの手法が63%も占めていて、
化石燃料を燃やし大量に二酸化炭素の排出することから、
海外では“リサイクル”としてみなされていない事情があります。
海外でリサイクルと認識されるマテリアルリサイクルは、
日本では全体の21%で、ケミカルリサイクルは3%でした。
参考: 2020年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況-マテリアルフロー図-
一般社団法人プラスチック循環利用協会
ペットボトルから繊維製品になるのは2割弱
2020年、日本国内でペットボトルからリサイクルされた製品の内訳は、
PETボトル30.0%、シート(食品トレイや文具など)は40.7%、
繊維製品は16.5%であり、繊維製品に生まれ変わったのは全体の2割弱です。
まだまだ割合としては大きいとは言えませんが、日本におけるマテリアルリサイクルの技術の高さは
世界でも評価されており、企業や各団体の取り組みや努力があっての結果ですね。
次は、そんな高い技術を駆使して生まれた、エコな生地をご紹介します。
4.エコな生地の紹介
①エコな生地 リサイクル繊維:リサイクルポリエステル
テキスタイルネットでは、ペットボトルを再利用した生地を多く取り扱っています。
リサイクル繊維としては、帝人フロンティアのECOPET ®、ユニチカトレーディングのユニエコロ®、東レの&+™など様々なブランドがあります。
ユニクロ、H&M、ZARAでは衣料品などを回収してリサイクルし、寄付や再販売される取り組みを実施しています。
HT-9520 エコペット T/C交織チェック ギンガムチェック
綿50% ポリエステル50%
リサイクルポリエステル使用
ほどよいハリと厚みで家庭用ミシンでも縫いやすくハンドメイド素材にもおすすめです。
KKF6216E2XV-W 100d梨地E2Xビンテージ広巾
ポリエステル100%
再生ポリエステルを使用したサスティナブル素材です。
程よい透け感とシャリ感、冷感が特長でナチュラルな風合いに仕上げました。
②エコな生地 合成皮革、人工皮革、エコファー
近年は、野生動物保護の観点から、動物の皮革を使わないファッションへの意識が高まり、合成皮革や人工皮革が主流となってきています。
海外では人工的に作られた革をシンセティックレザーと言いますが、日本においては合成皮革のことを指します。
革製品を扱うプロの人ですら、製品表示を見てみないと分からないと言うほどの高品質なものが登場しています。
また、ファッションに本物の毛皮を使わないという意味の「ファーフリー宣言」を、800以上のブランドが決断していて、
企業はもちろん、リアルファーを使わない、という消費者の意識の広がりも後押ししています。
MJ-nubakku MJ ヌバック
ポリエステル100%
本革に近い風合いを優先させたPVCレザーです。
表面はマットですが、引っ掻いても傷が付きにくく様々なシーンで取り入れやすい素材です。
柔らかく弾力があります。
5.まとめ
3R {=reduce(リデュース):減らす、reuse(リユース):再利用する、recycle(リサイクル):再生利用する}を
先に紹介しましたが、それにプラスして、
Refuse:断る
Rethink:考え直す
Repaire:修理する
という3つのRも。
全部合わせて6R!
その買い物は本当に必要か?修理してまだ使えるものではないか?
いつもの暮らしの中で、Rethinkしていただくことをおすすめします!
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