コート・スーツなどの裏地や、衣服、和服など多用途に使われているキュプラ素材の魅力を知らない人も多いのではないでしょうか?
キュプラは半合成繊維であり、そのツルっと滑らかな手触りや上品な光沢感は他の素材とは一味違った特性があります。
魅力いっぱいのサスティナブルなキュプラ素材、特徴や歴史、サスティナブルと言われる原料など、今回はたっぷりご紹介させていただきます。
目次
1.キュプラの特徴と特性
まずはキュプラ素材の特徴をメリットとデメリット分けてご紹介します。
=キュプラのメリット=
■高級感
▼人気のキュプラ生地▼
ACC002 先染めキュプラ(ベンベルグ(R)) ペイズリー柄(小)ジャカード
高価なスーツの裏地に使われることの多いキュプラは、上品な光沢感としなやかなドレープ性が贅沢な雰囲気の素材。
チラッと裏地が見えたときにも高級感が出るといった点は大きな特徴。
■滑りの良さ
FCB002 後染めキュプラ(ベンベルグ(R)) 綿 花柄ジャカード
スーツ着用時に、シャツの袖が引っ掛からずにスムーズに通りますよね。
それはキュプラの特性で滑らかで手触りがよく、袖通しももたつくことないからです。
キュプラがこんなにも滑らかなのは、繊維の断面が円形になっているからです。スムーズに袖が通る裏地はキュプラを使っている証拠と言ってもいいですね。
ジャケットを買いに行く時は、裏地がキュプラ使用のジャケットで袖通しの良さをぜひお試し下さい。
■調湿機能と耐熱性に優れている
キュプラは素材そのものに水分を多く含んでおり、しっとりとした風合いです。
それは繊維に含まれている水分率が高いためです。
吸湿性・放湿性にすぐれていて、湿度調節や保温といった効果があるので蒸し暑い夏は体をひんやりさせ、寒い冬は体を温める作用があり、季節を問わず快適な着心地です。
■静電気が起こりにくい
静電気ってのは乾燥していると起こりやすくなりますがキュプラは保湿性に優れているため、キュプラを裏地に使っていると静電気が起こりにくくなります。
冬場の嫌な静電気を抑える効果があるので、コート、ドレス、スカート、ワンピースなど、衣服の裏地やペチコートにも使われます。
静電気が起こりやすくなる秋冬は持ってこいな素材ですね。
=キュプラのデメリット=
・湿潤強度(水にぬれた時の強度)はレーヨンのように低下しないが耐久性はあまり良くない。
・コシがない
・摩擦に弱くて毛羽立ちやすい。
2.どんなアイテム・製品に使用される?
綺麗な表面と滑らかな光沢感はまさに高級素材のキュプラ。どんなアイテムに使用されるかアイテム別にご案内します。
■コート・スーツなどの裏地
▼裏地向きのキュプラ生地▼
ACB002 先染めキュプラ(ベンベルグ(R)) ダイヤ柄ジャカード
キュプラと言えば一番多いのが、衣服の裏地です。とくに、静電気が気になる秋冬の衣服には最適です。また、滑らかな肌触りと肌へのまとまりつきを防げることが裏地におすすめの理由です。
■シャツ/ワンピース
▼シャツ/ワンピース向きのキュプラ生地▼
とても柔らかくしなやかなキュプラ。そのしなやかさでシャツの落ち感がとっても魅力的。
また、キュプラのドレープ性ワンピースを着るととてもキレイにボディラインを見せてくれます。
■和装下着
▼和装下着向きのキュプラ生地▼
吸湿性・放質性に優れさらりとした肌ざわりなので、蒸れやすいお着物でも安心。
また、キュプラは静電気が起きにくいので裾廻りのまとまりつきを防ぎ裾さばきも快適に過ごせます。
■寝具
滑らかな肌触りと、吸湿性に優れたキュプラは寝具にもぴったり。快適な睡眠を味わえます。
3.キュプラの歴史
ML_ACB002 先染めキュプラ(ベンベルグ®) ダイヤ柄ジャカード
「キュプラ」と言うのは繊維の名前。
ポリエステルとかレーヨンとか、呼ぶのと同じ。
で、キュプラのブランド名はベンベルグ。
旭化成の登録商標です。
旭化成のホームページにベンベルグの歴史が書かれています。
<ベンベルグ>が誕生したのは化学繊維が開発されたばかりの19世紀後半のドイツ。
旭化成は、ベンベルグ社が開発したその技術を1928年に導入し、3年間の研究を経て日本で初めて生産に成功。
1931年、宮崎県延岡市に<ベンベルグ>工場を建設し操業を開始しました。たゆみない研究と技術の革新により、旭化成は現在世界で唯一のキュプラ<ベンベルグ>メーカーになっています。
社会情勢や時代のファッションニーズに柔軟に対応し、
発展してきた<ベンベルグ>は、85年以上にわたる時の試練を経て、その品質が世界で認められた繊維となりました。
4.キュプラの原料
キュプラはコットンリンターという、綿花の種の周りの産毛部分からできています。
この産毛部分は短すぎて綿糸にできず、種部分は綿実油に使われていたりしたが、もともとは使われることが無かったのです。
それを精製・溶解して作られた再生繊維がキュプラです。このことからもキュプラはサステナブルな繊維素材です。
=レーヨンやポリエステルとの違い=
レーヨンとポリエステルは、どちらも光沢がある化学繊維で、キュプラと同じようにスーツの裏地によく使われています。
レーヨンは木材パルプから作られた再生繊維で、ポリエステルは石油由来の原料から作られた合成繊維です。
このため、キュプラ・レーヨン・ポリエステルは見た目は似ていても、機能面では異なります。
5.キュプラのお手入れ・取り扱い・洗濯方法は?
キュプラを取り扱う際には、こういったところに気をつけて下さい。
そもそも水洗いできないものが多く、水に弱く濡れるとシミやシワになってしまうとてもデリケートな素材です。
できれば、クリーニングに出すことがおすすめですが、もしもご家庭で洗濯する際は縮みやシワなどに十分気をつける必要があります。
衣類の内側についている洗濯表示を必ずチェックしましょう。
ポイント
また、摩擦にあうと繊維が傷み毛羽立ちやすい性質があります。
シルク生地に似て、繊細なところもあって、普段着ている分には激しい摩擦など起こりにくいものですが、何かをこぼしたときなどにシミ取りのため強く擦るなどすれば、
あっという間に毛羽立ってしまい元に戻りにくくなってしまいますのでご注意ください。
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