『ニット』と言うと、ウール素材を思いうかべる方が多いのではないでしょうか?
ニット=セータ-ではないんです。
ニットは糸を編んで作られた素材で織り物ではありません。
つまり、編まれて出来た生地はニットと言うことです。
Tシャツなどに使用されるカットソー生地も編み上げて作られているのでニットになります。
ニットと言われるとセーターなどのニットなのかカットソーなのかわかりにくいので、
アパレルではセーターなどのニットを『ニット』、カットソー生地を『ニットカット』とか『カット生地』といった言い方をします。
セーターなどのニットは編み上げて形を作りますが、カットソーは、編み上げたものを生地として使用するため、
ニットをカットして縫う(ソーイング)のでカット&ソーで『カットソー』と言われます。
1.綿ニット(コットンニット)とは?
名前の通り、綿で編まれたニットです。
天然繊維でならではのナチュラルな風合いが楽しめます。
綿素材の布帛をイメージすると化学繊維が入っていないと伸びないじゃないか、ストレッチ性がないんじゃないか、と思いますが、
織り物と違い、編み物であればコットン100%でもちゃんと伸縮性のある伸びる生地になっています。
<織り物と編み物の違い>
織り物は、糸を真っ直ぐに使用し、2本以上の経糸と緯糸を交差し生地にしていきます。
編み物は、1本の糸をループ状にし、ループにループをくぐらせる形で生地にしていきます。
同じ生地幅の織り物の緯糸と編み物の緯糸を比べてみると、編み物の緯糸はループ状になっているので伸びしろがあります。
2.綿で編まれた綿ニットの特徴
綿は柔らかく肌触りが良いく、また天然繊維なので、敏感肌の人や肌のデリケートな赤ちゃんにぴったりな素材です。
通気性、吸湿性、吸水性などにも優れた機能を持っているので特に春夏シーズンに大活躍します。
肌から発する熱を肌と生地の間で保つ事ができる保温性にも優れているので秋冬の寒いシーズンの使用にも向いています。
また、綿は染色のしやすい素材のため、カラーも豊富に揃います。
<綿ニットを使用したアイテム>
そんな綿素材を伸縮性を持たせたニットにすることで、
更に弾力のあるふわふわとした柔らかい肌触りになるため肌に半袖Tシャツをはじめ、カーディガンやベスト、チュニックなどのトップスに多く使用されています。
メンズ、レディース問わず、着てる方も多いユニクロの綿ニットTシャツ。
人気ですよね。
白Tだけでなく、ネイビー、ブラック、カーキなどカラーも豊富で色々なスタイルに合わせやすいアイテムです。
伸縮性があるのでUネックやVネックだけではなく、ハイネックタイプでもすっぽりと頭からかぶることができるので、デザインも様々。
コロナ禍では綿ニットを使用したマスクも登場しました。
伸びも良くお肌に優しい素材なのでとても人気です。
衣類などのアパレル以外にも布団カバーや枕カバーなどのインテリア雑貨としても使用されます。
こちらも伸縮性と肌触りの良さがぴったりあいます。
3.知っておきたい綿素材のデメリット
<デメリット1>
コットン100%の天然素材は、化学繊維のような形態安定などの機能はありません。
なので、コットンニットは伸縮性はあるとは言え、素材自体が伸びやすいので元に戻りにくいと言ったデメリットもあります。
小学生の頃にやった方も多いと思いますが、
体育座り(三角座り)をしてTシャツの中に足を入れたりなんかすると、ビロ~ンと伸びてしまった経験ありませんか?
あんな感じです。
化学繊維を使用した素材では、そういった現象が少ないですよね。
<デメリット2>
綿は伸びやい素材ではあるものの、水分を含み乾燥することで縮むと言う一面もあるんです。
なのでお洗濯して乾燥させると、「小さくなってない?」なんてことも。
縮む原因は、生地を織ったり編んだりする際に繊維が強く引っ張られるから。
この引っ張られた繊維が、水分をみ、乾く際に元の形に戻ろうとするために縮んでしまうのです。
縮んだTシャツを元に戻したい。
そんな時は、桶に水と柔軟剤をいれ、混ぜ、30分ほどつけ置きします。
軽く脱水したら、形を整えて乾かします。
乾かす時は、平干しで。ハンガー(特に針金ハンガー)を使用して乾かすと今度は、ハンガーの形が付いてしまうので注意してください。
普段のお手入れ・取り扱いについては、洗濯表示に従ってお洗濯してください。
4.綿ニットで手作りするには?
伸縮性のあるカットソー素材を縫う為に必要になるのが4本針ロックミシン。
私が長年愛用しているのは、ベビーロックの衣縫人。
面倒なロックミシンの糸通しもエアーを使って簡単にできてお気に入りです。
ミシンにもよりますが、生地を『縮める、伸ばす』レバーが付いているので、
縮め縫い、伸ばし縫いが可能です。
例えば、ポロシャツの袖のように、リブが付いた袖口の縫い方は、
袖口寸法より小さめ寸法のリブを少し伸ばしながら、袖口は少し縮めながら縫います。
そうすることでパフスリーブとまでは行きませんが、ふんわりとしたシルエットの袖を縫うことが出来ます。
リブが付いたTシャツの襟ぐりの場合は、下記のような寸法で襟ぐりリブを裁断します。
リブと襟ぐりの合印をきちんと合せてリブを伸ばし付けします。
襟ぐりに均等にリブがつくよう合印をきちんと合わせるのがポイントです。
5.まとめ
綿ニットは、天然素材の良さと織り物と違い伸縮性がある本当に着心地の良い素材。
手作りで使用するには、道具や知識が必要になるので気軽に使用するのは少し難しいですが、
ニット素材は縫い方を覚えるてしまうと、布帛を縫うよりとても簡単です。
一度は挑戦してみたい素材です。