ポリウレタン生地 メリットと注意点

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春夏のような暑い時期も秋冬のような寒い時期でもストレッチの効いた服はどんな季節でも着心地が良いですよね。

ストレッチ素材と言われている生地の多くは『ポリウレタン』という素材が使われています。

 

 

1.ポリウレタンの特徴

 

【誕生は1940年頃のドイツ】

ポリウレタン(PU)は元々は天然ゴムの代替品として開発されました。

正式名称は『スパンデックス』と呼ばれ、柔らかく高い伸縮性を持つ合成繊維です。

綿やポリエステルなどの伸縮性の無い素材に、ほんの数%混ぜるだけで
着心地の良いストレッチ性の高い生地になります。

ストレッチ素材とされる生地のほとんどにポリウレタンは使われています。

 

【メリット】

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◎高い伸縮性

ポリウレタン繊維は伸ばしたときに元の長さの約5~7倍にもなる高い伸縮性があります。

引き伸ばした後に元の形状に戻りやすいため、ゴムのように伸ばしすぎて伸縮性が失われる心配もありません。

伸縮性がある生地は柔らかくシワになりにくいというメリットもあり、快適な着心地になります。

 

◎軽量

ポリウレタンは断熱材やスポンジの原料になることから、とても軽いという特徴があります。

他の繊維と混紡すれば衣類も軽くすることができるので、
動きやすさを重視するスポーツウェアにもよく使われています。

旅行などでもポリウレタン生地の衣類にすれば、荷物を軽量化することもできます。

 

◎衝撃強度がある

ポリウレタン繊維は縦・横の引っ張りに強くちぎれにくい性質があります。

さらに強い衝撃にも耐えられる高い耐久性も持ち合わせているので、
靴のインソールやスマートフォンケース、家の断熱材にも用いられます。

 

◎他の素材と混ぜて使える

コットンやウールなどの天然繊維からレーヨンやポリエステルなどの化学繊維まで、
どの異素材とも相性が良いので、混紡して使うことも可能です。

伸縮性の無い織物にも、ほんの3%~5%混ぜるだけでもストレッチ性の高い生地にできます。

 

また、ポリウレタンとしてのメリットは様々な形状でも利用が可能ということも挙げられます。

今回紹介している繊維として利用されるほか、発泡剤と混ぜてスポンジや断熱材、
塗料として合成皮革、接着剤、スマホケース、スピーカーなど様々な用途で使われます。

 

【注意点】

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ポリウレタンは使用にあたっていくつか注意点・弱点があります。

 

▼劣化が早い

ポリウレタンは製造されてから約3年程度で劣化してしまうという弱点があります。

製造されてからというのが大きなポイント。

商品を購入して使い始めてからではないんです。

ポリウレタンは空気中の水分や温度変化、紫外線などに反応して徐々に劣化していきます。

そのため、ポリウレタン100%の衣類はあまり見かけません。

 

▼湿度・温度の変化に影響されやすい

ポリウレタンは湿度(水分)や急激な温度変化に弱いというデメリットがあります。

コーティングなどに使用される場合、“防水効果”があるので水に強いかと思ってしまいますが、
雨や汗などで濡れてしまったり、湿気が多い場所に長時間置いておくと加水分解が始まって劣化していきます。

ポリウレタン製品が濡れてしまったときはすぐに乾いた布で拭き取りましょう。

保管の際も除湿剤を入れたり、圧縮袋に入れるなどして湿気対策をするのがベストです。

また、急激な温度変化にも弱いためアイロンや乾燥機にかけてしまうと縮んでしまうので避けたほうが無難です。

 

▼紫外線に弱い

ポリウレタンは紫外線の刺激にも弱い性質があります。

特にお洗濯のときには注意が必要です。

春~夏の紫外線が強い時期では、影干しか部屋干しするなど直射日光は極力避けたほうがいいです。

 

日常生活のあらゆる刺激に弱いというのも、ポリウレタン製品の寿命が短い理由になります。

ですが日頃から丁寧にケアすることによって劣化を遅らせ、長持ちさせるということは可能です。

 

【ポリエステルとの違い】

ポリエステルもポリウレタンと同じ化学繊維の仲間です。

名前が似ているので少し紛らわしく感じてしまう方もいるかも知れません。

 

ポリエステルの特徴をまとめてみると

●原料はペットボトルと同じ『PET(ポリエチレンテレフタレート)』
●湿気や熱に強い
●紫外線に強い
●しわになりにくい
●お手入れしやすい
●吸水速乾、UVカット、抗菌など機能加工することができる

など丈夫で日常使いしやすいメリットがあります。

伸縮性のあるポリウレタン繊維と混ぜることで、より機能的で着心地の良いアイテムにすることができます。

 

2.ポリウレタン素材の取り扱い方

 

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ポリウレタンのデメリットの部分だけ見ると、
とてもデリケートで扱いにくい素材というイメージになりそうですよね。

ここでは、劣化のスピードを遅らせるためにできることと、洗濯方法についてお伝えします。

 

【ポリウレタンは日頃のケアが大切】

ストレッチ素材の服や、フェイクレザーのジャケットやコートなどにポリウレタンは使われています。

お気に入りの1着、長持ちさせたいですよね?

日常的にできる簡単なケア方法をご紹介します。

 

◎湿気や水分に長時間さらしたままにしない

ポリウレタン素材は長時間水に濡れた状態でいると加水分解が始まって劣化してしまいます。

雨に濡れてしまったり飲み物をこぼしてしまったときは、すぐに乾いた布などで拭き取りましょう。

また、1日着用したジャケットやコートはすぐにクローゼットにはしまわないで、
1日ほど干して乾燥させてからしまいます。

保管時もクローゼットの中に除湿剤を入れたり、衣類を圧縮袋に入れて湿気を遮るなど、
できるだけジメジメさせないのもコツです。

 

◎防水スプレー

フェイクレザーのジャケットやバッグは防水スプレーをかければ、突然雨に振られたりしても安心です。

防水スプレーをかけて表面をコーティングすることで水分からポリウレタン素材を守り、長持ちさせることができます。

ですが、防水スプレーはポリウレタンに使えないものもあるので、対応しているものを使うようにしてくださいね。

 

【ポリウレタン素材の洗濯方法】

洗濯表示は必ずチェックする

ポリウレタン素材の衣類を洗濯したいときは、必ず洗濯表示を確認しましょう。

水洗いできないものもあるので自宅の洗濯機で洗えない場合はクリーニング店に出すのがおすすめです。

 

自宅で洗える場合

洗濯機で洗える場合は、衣類を洗濯ネットに入れて洗います。

洗濯ネットに入れることで、他の衣類との摩擦を避け、ダメージを軽減できます。

可能なら、他の衣類と分けて洗濯するほうがよりダメージが少なくて済みます。

 

洗濯コースは、手洗い(またはドライコース)でおしゃれ着洗い用の中性洗剤を使用します。

ポリウレタンは塩素に弱いので漂白剤は使いません。

 

脱水はできるだけ短く(約1分程度)、終わったらすぐに形を整えて干します。

ここでも直射日光に当てないよう注意しましょう。

 

手洗いの場合も、中性洗剤を溶かした水で優しく押し洗いし、脱水は洗濯機を使って短時間でかけます。

 

それでも面倒だと感じたら

上記のようにポリウレタン素材は日頃からしっかりお手入れすれば長く使用することができますが、
一般的な長持ち素材と比べると寿命が短いのは否めません。

湿気対策や防水スプレーなども定期的に行うのは面倒だと感じる人も多いと思います。

洗濯物を分けたりして洗濯の回数が増えるのはストレスにもなります。

その場合はポリウレタン素材が使われていない生地を探すのもアリです。

お手入れもお洗濯も楽な方がいいですよね。

 

ポリウレタン素材の使われていない合成皮革を探すのは難しいですが、
ストレッチ生地ならニット素材を選べばポリウレタンが使われていない生地もあります。

コットンやポリエステル素材でできているニット生地なら、
長持ちしてお手入れも楽ちんなので、日々のお洗濯の負担も軽くなりますね。

 

3.おすすめのポリウレタン生地

 

 

【手作りマスク効果で注目されたマスク用ゴム】

一時期、不織布マスクの品薄が続いたことによって、手作りマスクの需要が高まった時期がありましたね。

マスク本体のガーゼ生地だけでなく、マスク用のゴムですら品切れで
どこにも売っていないという大変な状態になったというのも記憶にある方も多いかと思います。

(私も当時は手芸店や100均へマスクの材料探しに行きました)

その中でストッキングやバイアステープなど様々なマスクゴムの代用品が注目を集めました。

 

ポリウレタン素材のテープ・リボン

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