
イギリスの名門大学「オックスフォード大学(Oxford University)」にちなんで名付けられたとされる、オックス生地(オックスフォード生地)。
実際にオックスフォード大学がこの生地を開発したわけではありませんが、大学名を冠することで「上品さ」「知的なイメージ」を持たせたと考えられています。
特に、オックスフォードシャツ(ボタンダウンシャツ)は、学生や紳士のカジュアルウェアとして定着しました。
19世紀初頭、スコットランドの織物工場で、イートン、ケンブリッジ、ハーバード、オックスフォードといった有名大学の名前を冠した4種類の新しい織物が開発されました。
その中で「オックスフォード」だけが特に人気を集め、現在まで広く使われるようになりました。
秋の行楽シーズンに向けたオックスフォード生地の活用方法についてご紹介したいと思います。
オックス生地の基礎知識
オックス生地(オックスフォード生地)とは、平織りの一種で、2本以上の糸を引き揃えて織る「斜子(ななこ)織り」という技法で作られた生地です。
主に綿やポリエステルなどの素材が使われます。
表面に格子状や斜めの模様が浮き出て、独特の風合いになります。

↑KMC-11652 40/- カラーオックス
定番人気商品40/-の綿糸を使用したオックス生地。斜子織のため、通常の平織りよりも通気性がよく軽量で柔らかい素材。
オックス生地とは?特徴と魅力

1. 丈夫で長持ち
糸を複数本まとめて織るため、厚みと強度があり、摩擦や引っ張りにも強いです。日常使いの衣類やバッグなどにも最適です。
2. 通気性が良い
織り目がやや粗いため、空気が通りやすく、蒸れにくいのが特徴です。春夏のシャツや子供用グッズにもぴったりです。
3. 柔らかい肌触り
使い込むほどに生地が柔らかくなり、肌なじみが良くなります。着心地の良さも魅力のひとつです。
4. シワになりにくい
ブロードなどの生地に比べてシワが目立ちにくく、アイロンがけの手間も少なくて済みます。
5. カジュアルで上品な雰囲気
カジュアルさと上品さを兼ね備えており、普段着からビジネスカジュアルまで幅広く使えます。
6. 豊富なカラーバリエーション・柄
無地からストライプ、チェックなど、さまざまなデザインがあり、好みに合わせて選べます。
7. ハンドメイドにも最適
縫いやすく、初心者でも扱いやすいので、手作りのバッグや小物、子供の入園グッズなどにもよく使われます。
このように、オックス生地は「丈夫さ」「快適さ」「扱いやすさ」「デザイン性」など、さまざまな魅力を持っています。
用途や目的に合わせて選ぶことで、長く愛用できる生地です。
オックス生地の種類と用途
種類 | 特徴 | 主な用途 |
普通オックス | 標準的な厚みと柔らかさ。最も一般的なタイプ。 | シャツ、ブラウス、子供服、雑貨 |
厚手オックス | 糸が太く、しっかりとした厚みがある。 | バッグ、エプロン、クッションカバー、雑貨 |
薄手オックス | 軽くて柔らかい。通気性が高い。 | 夏用シャツ、ブラウス、ハンカチ |
カラーオックス | 柄や色のバリエーションが豊富。 | ファッション小物、インテリア、雑貨 |
ストレッチオックス | ポリウレタンなどが混紡され伸縮性がある。 | スリムシャツ、動きやすい衣類 |
撥水オックス | 撥水加工が施されている。 | レインバッグ、アウトドア用品 |
オックス生地の厚み比較
生地の厚さは、 「何を作るか」「どんな使い方をするか」 によって選ぶのがポイントです。

↑OCA3979 25/1リネンオックス 硫化染め
太番手のリネンを2本引き揃えに織った生地に、硫化染料を用いて染色を行いました。染め上りの表情は生のデニムのように固く深い色をしていますが、製品洗いや、着用・洗濯を繰り返すうち、ヴィンテージのようなフェード感が表れてきます。製品にあつらえてクタクタになるまで着倒して頂きたい、玄人好みのテキスタイルです。
生地の厚さとは?厚みによる違いと特徴
生地の厚さとは、生地そのものの「薄さ」や「厚み」を指し、手触りや見た目、用途に大きく影響します。
厚さは「オンス(oz)」や「mm(ミリメートル)」、または「g/㎡(グラム毎平方メートル)」などで表されることが多いです。
薄手生地
厚みの目安:約100~150g/㎡
軽やかで涼しく、通気性とドレープ性(落ち感)がある。夏物や重ね着、裏地などに最適。ただし、強度はやや劣るため、摩擦や重いものには不向き。
中厚生地
厚みの目安:約150~200g/㎡
程よい厚みでバランスが良く、幅広いアイテムに使える。透けにくく、適度な強度と柔らかさを持つ。
厚手生地
厚みの目安:約200~300g/㎡以上
丈夫で型崩れしにくく、重いものを入れるバッグや、耐久性が求められるアイテムに向いている。保温性も高いが、通気性はやや劣る。
オックス生地と他生地との違い
シーチング・ブロード・キャンバス生地 オックス生地との違いは?
項目 | オックス生地 | シーチング | ブロード | キャンバス | |
織り方 | 斜子織り(ななこ織り) | 平織り(たて糸とよこ糸を1本ずつ交差) | 平織り(たて糸とよこ糸を1本ずつ交差) | 平織り(たて糸とよこ糸を2本以上使うことも) | |
厚み | 中厚~厚手(しっかりした質感) | 薄手~中厚(やや薄く柔らかい) | 薄手~中厚(なめらかで薄い) | 厚手~超厚手(非常にしっかりしている) | |
表面の特徴 | ややざっくりした風合い、立体感がある | なめらかでフラットな表面 | つるっとした光沢、きめ細かく滑らか | 目が詰まっていて硬く、ざっくりした風合い | |
強度 | 丈夫で耐久性が高い | オックスよりはやや弱い | オックスよりはやや弱い | 非常に丈夫で耐久性・耐水性が高い | |
シワ | シワになりにくい | シワになりやすい | シワになりやすい | シワになりにくい | |
主な用途 | シャツ、バッグ、エプロン、雑貨、子供服 | 仮縫い、裏地、パッチワーク、雑貨 | ワイシャツ、ドレスシャツ、ブラウス | トートバッグ、テント、シューズ、画布、作業用エプロン | |
価格 | やや高め | 比較的安価 | 比較的安価 | やや高め |
オックス生地選びのポイント
「何を作りたいか」「どんな仕上がりにしたいか」を明確にして、 厚み・素材・色柄・加工などを総合的にチェックするのが、オックス生地選びのコツです。

1. 厚みを確認する
□薄手:夏用シャツ、ブラウス、裏地、軽い雑貨向き
□中厚:通年用シャツ、子供服、ワンピース、雑貨など幅広く使える
□厚手:バッグ、エプロン、クッションカバーなど丈夫さが必要なアイテムに最適
2. 素材をチェック
□綿100%:ナチュラルな風合い、吸水性・通気性が良い
□ポリエステル混:シワになりにくく、乾きやすい
□ストレッチ素材:動きやすさ重視の衣類におすすめ
3. 色・柄を選ぶ
□無地:シンプルで使いやすい
□柄物(ストライプ、チェック、プリントなど):個性や用途に合わせて選択
4. 加工の有無を確認
□撥水加工:バッグやアウトドア用品に便利
□防汚・抗菌加工:子供用グッズやキッチン雑貨におすすめ
5. 用途に合わせて選ぶ
□衣類:柔らかさや肌触り、通気性を重視
□バッグ・雑貨:厚みや強度、耐久性を重視
□インテリア:色や柄、耐久性を重視
ご購入前にサンプル帳でご確認いただくことをおすすめします。
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オックス生地のデメリットと解決策
多くのメリットがありますが、用途や好みによってはデメリットと感じる点もあります。
以下に主なデメリットをまとめます。
デメリットを知ってより良いものづくりになりますように。

オックス生地のデメリットは?
1.やや厚みがあり重い場合がある
薄手の生地に比べると、オックス生地は中厚~厚手が多く、衣類によっては重く感じることがあります。
2.ごわつきを感じることがある
織り目が粗めでしっかりしているため、最初はごわつきや硬さを感じることがあります(使い込むと柔らかくなります)。
3.細かいデザインや繊細な仕上がりには不向き
ざっくりした風合いが特徴なので、ドレープ性や光沢感、繊細な表現を求めるアイテムには向きません。
4.厚手タイプは乾きにくい
厚みがある分、洗濯後に乾くのに時間がかかることがあります。
5.アイロンが必要な場合も
シワになりにくいとはいえ、完全にシワがつかないわけではないので、きれいに仕上げたい場合はアイロンが必要です。
6.高密度なブロードなどに比べると、ややカジュアルな印象
フォーマルな場面や上品な仕上がりを求める場合は、ブロードやサテンなど他の生地の方が適しています。
オックス生地は丈夫で扱いやすい反面、「厚み」「ごわつき」「カジュアル感」などがデメリットになる場合があります。
用途や仕上がりのイメージに合わせて、他の生地と比較しながら選ぶのがおすすめです。
デメリットを克服するための工夫
オックス生地のデメリットは、生地選びの工夫やお手入れ方法、使い方のアレンジで多くが解決・軽減できます。
用途や好みに合わせて、最適なタイプや使い方を選ぶのがおすすめです。
デメリット | 解決方法・工夫例 | |
ごわつき・硬さが気になる | 洗濯を繰り返して柔らかくする。柔軟剤を使う。アイロンで仕上げる。 | |
繊細な仕上がりに不向き | 薄手オックスや細番手の糸を使ったタイプを選ぶ。用途に応じて他の生地と組み合わせる。 | |
乾きにくい | 脱水をしっかり行い、風通しの良い場所で干す。乾燥機を活用する。 | |
アイロンが必要な場合がある | シワになりにくいポリエステル混や形態安定加工の生地を選ぶ。 | |
カジュアル感が強い | 無地や落ち着いた色柄を選ぶ。デザインや他素材との組み合わせで上品さをプラスする。 |
具体的な工夫例
衣類の場合
★薄手オックスやストレッチオックスを選ぶと、軽さや動きやすさがアップします。
バッグや雑貨の場合
★厚手オックスを使う場合は、裏地を薄手にしたり、部分的に使うことで重さを軽減できます。
ごわつき対策
★使い始めは数回洗濯し、柔軟剤を使うと柔らかくなりやすいです。
乾きにくさ対策
★風通しの良い場所で広げて干す、または乾燥機を短時間使うと効率的です。
生地を長持ちさせるためのヒント
オックス生地は丈夫ですが、やさしい洗濯・陰干し・適切な保管など、ちょっとした工夫でさらに長持ちします。

↑3001 プレミアムオックス(ST&ギンガム)
柔らかな肌触りで毛羽立ちにくい、丈夫でしなやかなスーピマコットン100%を使用した定番オックスフォードのストライプ生地です。
ハリ感の中にもしなやかさを演出した風合いに仕上げております。
何年着ても飽きのこない素材!
永遠の定番生地はこれにかぎります!
※同クオリティー 無地3000 、 チェック3002も合わせてお使い頂けます。
洗濯時のポイント
・摩擦や型崩れを防ぐため、洗濯ネットの使用がおすすめです。
・中性洗剤やおしゃれ着用洗剤を使うと、生地へのダメージが少なくなります。
・強い水流は生地を傷める原因になるため、やさしいコースで洗いましょう。
・色落ちや繊維の劣化を防ぐため、使用は控えましょう。
干し方の工夫
・色あせや繊維の劣化を防ぐため、風通しの良い日陰で干すのがベストです。
・シワや型崩れを防ぐため、形を整えてから干しましょう。
アイロン・仕上げ
・高温すぎると生地を傷めるので、表示に従って中温程度でアイロンを。
・シワを伸ばしやすく、生地への負担も軽減できます。
保管方法
・カビや変色を防ぐため、乾燥した場所で保管しましょう。
・重いものの下敷きにすると型崩れやシワの原因になります。
使用時の注意
・バッグや衣類の場合、無理な力をかけないようにしましょう。
・シミや汚れは早めに対処することで、きれいな状態を保てます。
いかがでしたか?
オックス生地は、丈夫さと扱いやすさを兼ね備えた万能な素材です。
しっかりとした質感で型崩れしにくく、毎日使うバッグやエプロン、子供の入園グッズなどにも最適です。
また、通気性が良く、使い込むほどに柔らかさが増すため、シャツやブラウスなどの衣類にもおすすめできます。
シワになりにくく、お手入れも簡単なので、秋の行楽シーズンでも活躍しそうです。
豊富なカラーバリエーションや柄から、お好みの一枚を見つけて、アウトドアを彩るアイテム作りにぜひご活用ください。